偏愛 (ページ8)

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次の日。

宣言通り樹は京本くんと仲良くなるべく
学校に着くと、私の席が彼の前なことを利用して
さりげなく京本くんに話しかける。

なんだかんだ北斗もついてきてるし…

田中「京本くん！俺田中樹！前の席の笠原と仲良いんだよね！同じクラスになれたのも何かの縁だし良かったら仲良くしよ〜」

京本「…どうも」

まずい。京本くんかなり引いてる…
ここは私の出番では？

『急にびっくりするよね(笑)見た目チャラいし声大きいし。でも悪いやつじゃないから、よければ仲良くしてあげて！』

田中「褒められてる？貶されてる？北斗今の発言どう思う？」

松村「…挨拶が遅れました、松村北斗です。笠原と田中とは1年のとき同じクラスだったんだ。これからよろしく」

田中「無視かよ」

北斗のスルースキル半端ない。
なんでいつもこんなに冷静でいられるのか。
樹が乱した会話のテンポをしっかり修正している…

京本「わざわざありがとう。こちらこそよろしく」

北斗の軌道修正も虚しく会話終了。
4人の間に気まずい空気が流れる。

松村「…樹、俺ら担任に呼ばれてたよな？プリント取りに来いって」

田中「え…？あぁ！忘れてた！じゃあ俺たち行くわ。京本くんまた後で！」

流石にこの空気に耐えられなくなった北斗が
樹を連れてどこかへ行った。
こういうときだけ察しのいい樹。

担任に呼ばれてたなんて、絶対嘘。

北斗が耳元で「あとよろしく」って言ってきたけど
私にどうしろと？！

『台風みたいな人たちだよね〜(笑)でもふたりともすごくいい人だよ！私が保証する！』

京本「…ふふ、そうだね。笠原さんもきっといい人」

そう言って優しく笑う京本くん。
笑った顔、初めて見た。

笑顔の京本くんから、何故か目を離せなかった。

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