君のこと (ページ14)

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二宮さんに変なとこ見せてしまったな…。

棚橋さんはこうやってたまに私を怒る。

例え私が行った行動がチーフなどの上司の指示だとしても…。

T「いつもいつもいつも、好き勝手にするのは辞めてよ…。」

狭い給湯室で棚橋さんの声だけが響く。

T「デザインだって、手間がかかるって言ったのに。」

バンっ机を叩く。

「でも、デザインも交渉も全部私が…。」

T「当たり前でしょ？、誰が素直に補佐なんかするのよ。」

そしてAにこう言った。

T「うちの会社に不倫女はいらないから。」

棚橋は外側から給湯室に鍵をかけて出て行った。

「出して！棚橋さん！出してくださいってば！！」

コンコンコンッ！！！

何度ノックしても、声を出しても棚橋さんの靴の小さくなっていく音しか聞こえない。

「ダメだ、来る訳ないか。」

ここはほとんど誰も来ることがない給湯室。

真夜中の警備員の見回りの時に開けてもらうしかないだろう…。

「不倫女、かぁ。」

そう言って、Aは腰かけた。

前職でAは上司と恋に落ちた。

その人に妻子がいたことを知らずに。

その上司の奥さんにコトが知られ

その上司は会社に残りAだけが解雇されたのだ。

それを同級生の果歩に話し、今の会社に就いた。

Aは高学歴、ソツなく仕事もこなすことが買われCM担当にまで大抜擢された。

それを棚橋をはじめ気に食わない社員が数人いるのであった。