【twst】賽は投げられた (ページ7)

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「とにかく！魔法が使えるのではあれば入学するのには申し分ないですね！まぁ、使えるとは言っても一瞬で寮を修復できてしまうような膨大な魔力ですが…」

末恐ろしいですね、なんて呟く学園長は未だに悩むような素振りを見せた。

膨大な魔力…あの声もこの力も、間違いなくベルゼブブのものだろう。あの時確かベルゼブブは俺と“一体化した”と言っていた。

ベルゼブブの姿は見えなくとも、確実に俺の中に存在している。そしてその力自体も俺の中に潜んでいる。一体化とは正にこのことなのだろう。

「えっと…じゃあとりあえず無事入学はできるみたい…？

あっ！紹介が遅れたけど、僕はユウ。一応オンボロ寮の監督生なんだ」

「俺はA・アーチボルトだ。改めてよろしくな」

お互いに名乗り握手を交わした。

手を握っただけなのに、人のぬくもりに久々に触れた気がして少し泣きたくなってしまった。パブリックスクールではこんなことは一度もなかった。握手なんて誰もしてくれなかったから。

「ところでAくん、何で僕と同じ異世界出身なのに魔法が使えるの…？！僕は全く使えないんだけどなぁ」

ユウは不思議そうにそう尋ねてきた。
俺自身もこれに関しては説明できるほど理解は出来ていない。というかむしろ俺の方こそ聞きたいくらいだ。

…尋ねるべき相手はベルゼブブなのだろうけど、自分の中に眠る悪魔に尋ねる術なんて知りもしないので諦めるしかなかい。

それにベルゼブブのお陰で俺の入学は許可されたのだ。今は少なからず文句をは言えない。…そもそもここに飛ばされた原因もあいつだけど。

「実は俺もまだよくわからなくて混乱してるんだ。…ただ、一つだけ心当たりがあるからもしかしたらそれが原因かも」

ちゃんとわかったら教えるね、と付け足すとユウは頷いてくれた。ユウが物分かりが良い人間で本当に良かった。

学園長は俺の話にまだ納得できていない様子だったけど、こればかりはしょうがない。ベルゼブブとコンタクトが取れるまでは不明なままだ。

「不思議なことばかりですが…今ここで悩んでも仕方がありません。詳しいことは後から聞かせてもらいますよ！」

それから学園長は雰囲気を切り替え、俺の入学の手続きをし始めた。