【twst】賽は投げられた (ページ17)

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「あっ！転入生！…お前今までどこ行ってたんだよ！？」

「Aくん！」

教室に入るや否やエースとユウに囲まれた。デュースも眉を下げて心配そうにこちらを見ている。うっ…なんだか謎の罪悪感が湧いてくる。

授業はまだ始まっていないようでとりあえずほっとした。目の前に立ちはだかる3人に俺は目を逸らしつつ口を開いた。

「ごめんね…少し外の空気吸うだけのつもりだったんだけど、ちょっと厄介事に巻き込まれちゃってさ」

「「「厄介事？」」」

3人に同時に復唱され、俺は困ったように頭をかき苦笑いした。この場合はなんと答えるのが正解なのだろうか。

どうやら今回は笑いだけでは誤魔化せないらしく、エースに至ってはじりじりと距離を詰めてきている。ユウまでこちらを逃がさんと見詰めている。

…困ったな、フロイドたちと比べるとこんなのは可愛いものだが…どう切り抜けようか。

「とある生徒に突っ掛かれて、その…喧嘩紛いなことになったんだ」

「喧嘩ァ！？お前っ…怪我はしてないか？!」

せっかく出来た友人だし、あまり妙な嘘はつきたくない。フロイドたちのことは特に伝える義務はないだろう。言ったところでまた面倒な事になりそうだし…。

妙に“喧嘩”というワードに食いつき肩を掴み顔を覗き込むデュースに、俺はやんわりと返した。

「全然怪我はしてないよ。お互い…相手はわからないけど、俺は無傷だし結果的には穏便に済んだと思う」

「む、無傷…！？お前見かけによらずやるな！」

目を輝かせて俺の肩を掴み続けているデュースに俺は若干引いてしまった。

なんでデュースはこんなに食いついてくるんだ？今までは普通の真面目な男の子だと思ってたのに…なんだか違和感がある。

「転入初日に喧嘩ねえ…結構荒っぽいんだな、お前」

「とりあえずAくんが無事でよかった…！」

結局まともな反応で返してくれるのはユウだけだった。まあ、変に心配されて根掘り葉掘り聞かれるよりは全然マシか。

「…もう授業も始まるし席に着こうか」

俺は出来るだけ自然に話を締め、3人に控えめに微笑んだ。

「くっ…！Aくんの笑顔が眩しい…」

「…あいつ笑うと本当に雰囲気変わるよな」

「う、美しい…！！」

…今度はユウの反応ですらまともではなかった。俺が笑うたびに妙に大袈裟なリアクションとるの、恥ずかしいからやめて欲しいな。切実に。