序 ページ2
※若干の差別表現有り
┈ † ┈
「アジアンが
「この学校も落ちたものだな」
嘲笑う寮生たちの煩わしい声が耳にべったりと染み付いている。いくら剥がそうとも取れない厄介な瘡蓋だ。引き剥がしてしまいたい、でも到底出来ない。
“英国紳士”とは如何なものか?
俺の通うパブリックスクールは所謂“紳士を教育すること場所”である。しかしここには本物の紳士など存在しない。居るのは金と欲に塗れた甘やかされたお坊ちゃんだけだ。
彼らは絶対に直接手を出しては来ない。同類で集まって固まり、決まって俺の陰口を叩くのだ。これのどこが英国紳士だ、卑怯極まりない。
直接暴力はしてこないものの、廊下ですれ違う時には必ず肩をぶつけて来る。それに関しては大怪我をするほどでもないが、以前ラグビーチームに所属する寮生にやられた時は流石に骨が折れたかと思った。
___本当に馬鹿げた学校生活だ。陰湿な嫌がらせは一体いつまで続くのだろう?卒業まで?…いいやきっと卒業してからもずっと続くのだろう。俺はこのまま死ぬまで我慢し耐えていかねばならないのだ。
逃げ道は?俺が楽に息をできる場所は一体どこにあるのだろう?俺が生まれ、今まで生きてきた意味はこの世に存在するのだろうか。
俺はぼうっと溜息を吐きながら常日頃読んでいる「七つの大罪」について書かれた洋書に手を伸ばした。
果たして、俺を嘲り罵る寮生たちの罪が問われる時はいつかくるのか。罰せられる日はくるのか。答えが分かり切った無意味な問いが諦め悪く脳裏に過ぎった。
…ここではきっと、寮生たちではなく逃げ場を探して悪魔崇拝に手を出した俺の方こそが罪に問われてしまうはずだ。これこそが弱さなのだと謳われるのだろう。告げ口をされたら見せしめにでもされてしまうのかな。ああ滑稽だ、さぞかし笑えるのだろうね。
自傷的な笑みを浮かべ「 暴食の罪 ベルゼブブ 」のページを開くと、そこに奇妙な文字が浮かび上がった。
『
幾度も開いてきたページのはずなのにこんな文章は初めて見た。あまりの驚きに心臓の鼓動が高鳴った。
____息を呑みその文字に指を重ねると、俺の体は奇妙な白い光に飲み込まれていった。
42人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか? (2021年3月3日 18時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽ。 | 作成日時:2021年3月2日 22時