0.春は出会いの季節 ページ1
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春は出会いの季節______。
そう、物語は始まるけれど、世界はそんなものではなくて。
少なくとも私はそう思ってはいない。
___新学期早々、私はクラスに馴染めないでいた。
仲の良い、「サキ」 本名 「今井 咲」。
私の幼馴染でもあり、唯一の親友でもある人。
そのサキとも、クラスが離れてしまい、周りを見渡す限り知らない人ばかり。
しかも、始業式当日は風邪で休んでしまって、もう既に同じクラスの女子はそれぞれでグループができているようで、今更入る隙もなく。
高校生活3年間を通して1番楽しいと言われている、高校2年生活は最悪な状況で幕を開けてしまった。
私は、1人窓際の自分の席に座り、ふう、と一つため息をついて窓の外を眺めた。
校庭には、満開の桜の花びらが舞落ちている。
天気は青空がいっぱいに広がっていて、雲一つない、最高の一日の始まりのはずなのに。
「...友達できるかなぁ、」
私のその呟きと同時に、時間をお知らせする学校のチャイムが教室内に響き渡る。
さっきまで、ガヤガヤしていた教室内には静寂が流れ、教室のドアが開く。
担任の先生が入ってくると共に、その後ろには知らない男の人が。
クラスの女子からは黄色い声が上がり、それを浴びている"メガネ"の顔の整っている彼は、クシャッとした笑顔でクラス全体を見渡しながら、
「今日から半年間、教育実習生として来ました。鉄塔と申します。いろいろと皆さんに御迷惑をお掛けしてしまう点も多々あると思いますが、よろしくお願いします。」
_____それが彼との出会いだった。
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作者名:ゆきいちご | 作成日時:2018年5月24日 8時