０日目50 ページ2
「やっぱり食堂だと机や椅子が邪魔で混み合うな、法廷に移動したほうがいいか？」
「いや大丈夫ー、ここらへんの椅子と机どかすから」
動き出した彼らに少し離れた位置から澤村が大声で問いかければその中から誰かしらの声が帰ってくる。食堂の後ろの方は壁と席との間にそれなりのスペースがあるのだが、流石に50人が円になるとなるとそのスペースは足りず、前方にいる者達が机を押し、不協和音が耳を通り過ぎていく。
「多少円の形は崩れてもいいから壁と円陣の間のスペースも確保してくれ」
「りょーかーい」
再び集団の中から同じ声の主が言葉を返し、一箇所に集う人混みは円陣を作ろうとどんどん広がっていく、その様を見てもう大丈夫そうだと思ったのか澤村は指示を飛ばすのをやめた。
「てか共有者って手何出せばいいの？６？」
「そういや決めてなかったな」
「はいじゃあ共有者、澤村くん陣営は１、月島くん陣営は２、出そう！」
「はーい」
「りょうかーい」
「白鳥沢もうちょいそっち広がって、そうそう、そんなかんじ」
「これあくまで共有者探しだからねー。それ以外の人は何も出さないでねー」
「後ろもうちょいスペース開ける？」
「田中西谷日向影山、絶対に間違えるなよ」
「そこ密集しすぎてるから広がれー」
「俺らだけ名指しかよ！」
「木兎、オメーも間違って上げんなよ」
「任せろ！」
「ほんとに頼むぞおまえ……」
主に最上級学年が主体となり声をかける中、少し横に広がった楕円が出来上がる。その様子を見て澤村たち三人は互いに目配せで合図をし、そちらへ近付いた。
「それじゃあまずみんな目を瞑って、手を後ろに回してくれ」
少し大きめの声で澤村が指示をすれば、先程までざわめいていた食堂は静まり、自分たちから見て対面に位置する者達が目を閉じる。背を向けている者達の様子はここからでは見えないがこの様子であればおそらく大丈夫であろう。
「それじゃあ次に、共有者は指で番号を見せてくれ」
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作者名：世界の真ん中で | 作成日時：2023年5月18日 12時
