【ハイキュー】思考するサバイバル【人狼ゲーム】 (ページ33)

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0日目32 ページ33

そんな会話を交わし四人は会議室から出ていくことにした。会議室は廊下に直接繋がる扉とそこから更に廊下が続き八つの扉があるのだが、そのうちの一つから出てきた彼らがその先の扉から赤い絨毯が敷かれた幅広い廊下へと出ると、なにやらばたばたと慌ただしい足音が聞こえてきた。探索をするだけの作業に似つかわしくない空気に何かあったのかと、彼らは怪訝な表情を顔に浮かべる。
「あ、月島……とあと冊子組か、話し合いは終わった？」
「縁下さん」
　廊下の向こうから一人やって来たのは月島の先輩にあたる縁下で、彼の瞳の中に揺らぐ不安を月島は見逃さなかった。
「なにか、あったんですか？」
「……冊子組は規則違反でペナルティがあるってことは知ってるんだよね？」
　重苦しく開いた彼の口から出てきた言葉に四人の頭を嫌な予感がよぎった。
「それってつまり……」
「うん、白鳥沢の山形さんが、バルコニーから助けを求めようとして、それで……」
　彼から紡がれる言葉に呼応するように重たい空気が彼らを包み込む。予想をすることと実際に事象が起きることとの間には大きな隔たりがあり、最悪が一歩、こちらへ近付いてくる足音が聞こえたような気がした。
「白鳥沢……、それで白布さんは戻ってこなかったのか」
「白布なら今医務室で白鳥沢の人たちと山形さんの看病してるよ。あと烏野は探索も一段落してるから、今みんなで他校に規則について注意喚起して回ってる」
　かくいう縁下も冊子確認班にそのことを伝えに来たらしく、そう考えると先程の部屋から出たタイミングはちょうどよかったと言えるだろう。
「……ペナルティの内容は？」
　それまで黙って聞いていた孤爪が縁下に問う。尋ねられた彼はその問の答えを発する代わりに、自身の首元に手をやった。その場所に目を向ければ、少し開かれたワイシャツの隙間から金属製の首輪のようなものが覗いていた。
「これで首を締め付けられたらしいよ」
「それって大丈夫なの？容態は？」
「窒息で意識は失ってるけど、命に別状はないって」
　命に別状はない、本来であればいさんで喜ぶべき言葉であったが、この閉鎖された、誰が敵かもわからない空間で発された言葉であるが故、言葉の重みが全く違った。
「やっぱり、命のやり取りなんだねこのゲーム」
　再び、孤爪が静かに言葉をこぼす。まるでそれを肯定するかのように五人の間には水を打ったかのような沈黙だけが流れた。