【ハイキュー】思考するサバイバル【人狼ゲーム】 (ページ21)

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0日目20 ページ21

「そうですね、では次の探索場所に向かいましょうか。木兎さんも、かごはそのままそこにおいておいて構いませんのでボール片付けてください」
「え～～！！俺まだバレーしたい！！スパイク打ちたい！！赤葦トス打って！！」
「この後にプール、トレーニングジム、大浴場と探索しますが、その間木兎さんだけここに残るということでよろしいでしょうか？」
「なにそれ楽しそう！！俺も行く！！！」
「楽しそうってお前なぁ……」
　次に行く場所を冊子を見せて説明する赤葦に見事つられ、木兎は目を輝かせて先程まで自分がネットの向こう側へ打っていたボールを拾いに行く。その様子に木葉は彼が真っ先にサーブ練習を始めたときと同様呆れを見せるが、同時に一番木兎の興味を引くであろう体育館を最初の探索場所に持ってきた後輩の手腕に感嘆した。
「こんな状況でも木兎の面倒見てくれてありがとなー、マジですっげぇ助かるわ」
「まあ、いつもと対して変わりませんので。……それに、こんな状況だからこそ木兎さんの変わらなさには救われる部分もあるんです」
　そう言ってぎゅっと冊子を握りしめる赤葦。不安そうに揺らめく黒曜の瞳は、しかしチームメイトに手伝われてボールを籠にしまう木兎を見据えて光を灯す。
　普段から心の中では彼をスターと崇めている赤葦だったが、今日に限ってはその名称の通り不安という先の見えない暗闇の中で一等輝いているように思えた。

「はいアカンアカンアカンアカン！！！！！！」
　四つ繋げた関西弁とともに開けた扉をバンッッッと勢いよく全力で閉めたのは稲荷崎高校に属する所謂エーススパイカーの尾白。背後で見ていたチームメイト諸君は彼のいきなりの奇行に全員頭の上にはてなとビックリマークを浮かべた。
「えー、なにがアカンねんアランくん、たかが仮眠室やろ」
「ちゃんと説明してもらわんと納得できひんわー」
　そう言って不平不満を漏らすのは、稲荷崎男子バレー部の名物とも称される宮侑宮治の双子兄弟。小学校の頃から付き合いのある彼らに対し尾白は、だまらっしゃい！！とキレの良い返答で一括する。
「なにがあかんねん、遺体でも発見したん？」
「お前なんちゅーこと言うねん」
　ちゃうねんけど、そういうのとちゃうねんけど、と頭を抱えて尾白が言うが、その内容を全く口にしないのだから、彼以外の者からすれば仮眠室の様相は未だブラックボックスだ。