【ハイキュー】思考するサバイバル【人狼ゲーム】 (ページ14)

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0日目13 ページ14

「あとは……」
　他に探索場所はないかと縁下はぐるりと部屋を見回す。冊子の館内図と見比べながら部屋の壁際を一周してみると言っていた木下と成田は既にスタート地点に辿り着いており、部屋に四つある扉のうち一つが開かないためそこを調べると言っていた西谷と田中は未だに格調高い金色のドアノブと格闘している。ホワイトボードの前の澤村たちは何かを話し込んでいるようだった。
「田中たちのあそこのドアは、もう開かないんじゃない？」
「ですよね……」
「一応俺らも見てみますか？」
　山口の言により三人は田中と西谷がいる扉の前へと向かった。壁に両足をつけ垂直になる形でドアノブを力いっぱい引っ張っていた西谷が彼らに気づき、力を込めすぎて真っ赤になった顔でそちらを向く。
「あれ？旭さんたちそっちは終わったんですか？」
「うん、だから手伝いおうかなって思ってたんだけど……」
「いやもうそこまでやって無理なら無理だろ」
　どう伝えようか迷っている東峰に代わり縁下がばっさりと言い切った。
「なんだよ力！諦めんのか！？」
「頑張れば壊せるかもしんないだろ！」
「壊すにしても人の力じゃ無理だろ、せめてなにか道具使えよ、てか壊すな」
　なおも食い下がる二人にばっさばっさと正論で切り捨てていく縁下。そんな彼の背中を見て山口はこれが烏野の次期主将……、とこの場に似つかわしくない憧憬を抱いていた。
「け、けどよ力！ここ絶対なにか部屋があるんだぜ!?気になるだろ!?」
　田中の言う通り館内図にはこの奥にかなり広い空間が記されていた。しかし他の部屋はすべて部屋名が記載されているにもかかわらずここだけ何も情報がなかったのだ。彼らがいまだ頑なに鍵のかかった部屋を開けたがるのはそういう所以もあってのことだろう。
「気になるってのは同意だけど、時間が経てば開く仕組みかもしれないし、そもそも誰かがここから出るための出口を見つけてくれるかもしれない。無理やり開けるのは何もできなくて八方塞がりになってからでも遅くはないだろ？」
　縁下の説得に、不満げではあれど今度こそ二人は引き下がる。すかさず東峰が扉がどうやっても開かないってことだけでも調べてくれてありがとうね、と柔和にフォローを入れた。
「あ、やっぱりそこの扉無理だった？」
　近くまで来ていた成田が声をかける、その後ろには木下もついてきていた。