0日目4 ページ5
「お、来たね続々と」
部屋を出れば同じように恐る恐るといった体で同じ側の壁に並んだ扉から何人かの制服姿の男子高校生たちが顔を出し、会話もそこそこに近くにあった案内板を見て法廷という文字の書かれた一階中央の部屋へと向かった。通路を進み扉を開けば中には既に集まっている参加者が何人かおり、また、彼の入って来た扉やこの部屋につながる残り二つの扉からも続々と参加者たちが足を踏み入れた。おそらく60人分の、それこそ法廷で使われるような被疑者が使うような机に囲まれた部屋の中央に立っているうちの一人がその様子を見て先程の言葉を発したのだ。傷一つ無いピカピカの白い大理石の床に天井には豪奢なシャンデリア、円になっている机を更に囲むように建てられた石柱たちには緻密な装飾が施されており、そのうちの一つにはやはり荘厳な鐘の付いた時計がかけられており、その針は現在5時であることを指している。窓のないこの部屋では午前午後の判別は難しいが先程のルールが現在にも適応されるのであればきっと午後の5時なのだろう。シャンデリアの光の行き届かない部屋の隅の方は暗く、それがこの部屋全体に不気味な印象を与えている。。
「あ！いた！」
「キャプテン！！」
「先輩！！」
それぞれ見知った顔を見つけたものは大仰に声を上げて走って向かったり無言ながらもやや早足で目当ての集団のもとへ向かったり、だだっ広いホールのようなこの部屋でもの寂しさを感じなくなってきた頃には自然と各学校毎に参加者が分かれ、６０人分の長さの円を作っていた。
「えー、ゲームマスター某曰く、男子バレー部強豪校所属の皆様、本日はお集まりいただきまして、えー誠にありがとうござい、ます？」
知っている顔知らない顔入り乱れのこの空間で、混乱や困惑、猜疑心が蔓延する空気の中一番最初に通る声で皆の注目を集めたのは黒尾だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星を廻せ - 中の人です。表紙作りました。人選は完全に我の趣味です。本編などには何も関係ない趣味の人選です。 (2023年3月24日 4時) (
レス) id: 853819a2bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星を廻せ | 作成日時：2023年3月19日 7時
