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和やかな空気は、一人の少年の登場で一変する。そしてお館様もいらした所で、今回私達が集められた理由がこの少年だという事を知った。

少年の名前は竈門炭治郎。鬼を連れて鬼殺隊として戦っていたと言うのだ。俄には理解し難い話だが、炭治郎が連れていた鬼は彼の妹の禰豆子。鬼に惨殺された家族の生き残りで、禰豆子は鬼に変えられた。だが、強靭な精神力で人間を襲わず、鬼に変わってからこの二年、一度も人間を食ってはいないのだと言う。
どうやら富岡さんは禰豆子が鬼に変わってすぐ始末に向かったが、妹を必死で庇う炭治郎と、その炭治郎を守る様に立つ禰豆子に可能性を感じ、元水柱の鱗滝さんの元へ送ったらしい。そして炭治郎は見事に鬼殺隊に入隊し、その間も禰豆子は人を襲う事は無かった。
お館様は、そんな二人が鬼殺隊に居る事について認めて欲しいと仰った。

私達は鬼殺隊だ。鬼を滅する事が、私たちの仕事。炭治郎、禰豆子及びに二人を見逃した富岡さんの処罰を訴える人達の意見は、鬼殺隊として、柱として、最もだった。



『……』



人を食らう為だけに生きている鬼に、理性や思考などあったものではない。そんな事は嫌と言うほど理解している。けれど、私は炭治郎の話を疑いはしなかった。
私は知っている。鬼に変わりながらも、人間を、私を、襲わなかった者が居る事を。



産屋敷「Aはどうかな」


『…私は……』



鬼が憎い。何の罪もない人々の生活を恐怖に陥れる鬼の存在は、無くなるべきだ。でも、それでも、苦しそうに何かに耐えながら最期まで私に微笑んだ彼女の顔が、頭から離れない。



『……私は、炭治郎と禰豆子を信じたい。』


炭治郎「っ!」


不死川「おいA、てめえ自分が何言ってるか分かってんのか」


宇随「A、今此奴の話を聞いて、派手に驚かなかったのか?」


煉獄「幾らAでも、その意見は頂けないな!」


甘露寺「(Aちゃん…臆する事の無い正直な発言…男気があって素敵…!)」


伊黒「どう言うつもりだA。お前も腹切りてえのか?」


悲鳴嶼「慈悲の心は時に無慈悲になる…南無…」


富岡「……」


「A…」



炭治郎が驚いた様に私を見たのが分かった。無理もない。私はここで初めて彼等の事を知った者の中で唯一、自分の意思で賛成的な意見をしたからだ。
如何して、とでも言いたげなその表情にそっと笑い掛けから、お館様に向き直る。

.→←参 いつか叶えられなかった現実(アニメ二十二話より)



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設定タグ:鬼滅の刃 , 胡蝶しのぶ , 百合   
作品ジャンル:アニメ
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廣岡唯 - 面白い続きが観たい… (11月12日 17時) (レス) @page22 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
天霧(プロフ) - めっちゃ最高です。続きが気になります。更新気長に待ってますので頑張ってください! (2021年9月27日 22時) (レス) @page22 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 七稀さん» 七稀さん、読んでくださってありがとうございます。ゆるゆると更新していくので、これからもよろしくお願いいたします! (2020年5月17日 2時) (レス) id: 375c81672d (このIDを非表示/違反報告)
七稀(プロフ) - めっちゃ好きです!これからも楽しみにしてます!! (2020年5月16日 21時) (レス) id: e9601a34de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夕月 | 作成日時:2020年5月9日 2時

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