壱 動き出した日 ページ4
綺麗な人だと思った。顔立ちも、佇まいも、言葉遣いから作法、戦い方までも全て。
言わば、一目惚れだったのだろう。感じた事のない胸の高鳴りに抗う事はしなかった。
『しのぶさんは、絶望の色を見た事はありますか?』
Aは如何して戦うの?そう聞いた私に、彼女は落ち着いた声のまま呟いた。
まだ私もAも柱になる前。互いに加減を知らず、無茶苦茶な戦い方をしていた。特にAのそれは、普段クールな彼女らしからない、彼女の中に滾る''何か''に今にも飲み込まれてしまいそうな、そんな戦い方だった。
Aは強い。恐らく単純に、鬼殺に向いている人間なのだ。鬼殺隊に入っても尚終わる事のない厳しい訓練をしている事も宛ら、判断力や身のこなし、そして生まれ持ったその共感覚は、まさに鬼殺の為の才能とも思えた。
だから当時から、怪我をする事は稀で、治療の必要が無い程度の怪我でケロっと帰ってくる事が殆どだった。
しかし、酷い時にはとことん酷く、そんな怪我をした時は決まって、心も乱れている様子だった。
単に怪我の痛みから来るものでは無い。食事を受け付けず、まともに眠る事さえままならない様だった。
そんな怪我を手当てするのが何度目かになった頃、私はとうとう彼女に聞いた。
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廣岡唯 - 面白い続きが観たい… (11月12日 17時) (レス) @page22 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
天霧(プロフ) - めっちゃ最高です。続きが気になります。更新気長に待ってますので頑張ってください! (2021年9月27日 22時) (レス) @page22 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
儚(プロフ) - 七稀さん» 七稀さん、読んでくださってありがとうございます。ゆるゆると更新していくので、これからもよろしくお願いいたします! (2020年5月17日 2時) (レス) id: 375c81672d (このIDを非表示/違反報告)
七稀(プロフ) - めっちゃ好きです!これからも楽しみにしてます!! (2020年5月16日 21時) (レス) id: e9601a34de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕月 | 作成日時:2020年5月9日 2時