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「A…」
『しのぶさん?』
炭治郎達の話も落ち着き、柱合会議も終え、しのぶさんと一緒に帰る道の途中。ふと私の手を控えめに握ったその手を握り返す。
『…震えてるんですか?』
「ごめんなさい。少し、怖かったの。不死川さん、今にも貴女に斬り掛かりそうだったわ。」
『はは、』
「な、笑い事じゃないわ」
『不死川さんも他の誰も、私達は例え意見のすれ違いがあっても傷付け合いはしない。そうでしょう?』
「分かってるけど…」
どんどん俯きがちになるしのぶさんを、一度立ち止まって抱き締める。
皆が寝静まった、月明かりが照らすだけの道の真ん中。
ぎゅっと背中に回った腕に安心する。
「貴女をあんな目で見るなんて、許せなかったわ。」
『人の意見は自由です。私も、しのぶさんも、他の人達も。』
「ええ…」
『…でも、ありがとうございます。私も、しのぶさんが同じ様な状況だったら耐え難かったと思うから。』
心配掛けてごめんなさい、と頭を撫でると、私の胸に顔を埋める。
「だけど、貴女の意見もあったから、皆さん納得してくれたんだと思うわ。揃いも揃って幾分、貴女には弱いから。」
『何、炭治郎達の力ですよ。』
「…貴女の真っ直ぐな所、好き。」
『其処だけですか?』
「…意地悪。」
小さな顎を掴んで上を向かせると、拗ねたような表情が可愛い。
そっと唇を重ねる。柔らかくて、暖かくて、甘い。
『さあ、帰りましょう。』
「私の屋敷に?」
『ふ、ええ。そうですね。』
「やったあ!」
いつの日か私が考え付く事も出来なかった、人間と優しい鬼が共存する世界。
彼等はきっと、長らく続くこの戦いの切り札になる。
私やしのぶさんの様に、悲しみに暮れる人が増えて欲しくない。彼女やカナエ様の様に、鬼に傷付けられる人が居ない世界が良い。その為に、新しい仲間とも共に、この刃を振るおう。
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廣岡唯 - 面白い続きが観たい… (11月12日 17時) (レス) @page22 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
天霧(プロフ) - めっちゃ最高です。続きが気になります。更新気長に待ってますので頑張ってください! (2021年9月27日 22時) (レス) @page22 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
儚(プロフ) - 七稀さん» 七稀さん、読んでくださってありがとうございます。ゆるゆると更新していくので、これからもよろしくお願いいたします! (2020年5月17日 2時) (レス) id: 375c81672d (このIDを非表示/違反報告)
七稀(プロフ) - めっちゃ好きです!これからも楽しみにしてます!! (2020年5月16日 21時) (レス) id: e9601a34de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕月 | 作成日時:2020年5月9日 2時