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『私は彼等を受け入れ、共に戦いたいと願います。初めに駆け付けたのが私でも、富岡さんと同じ事をしていたと思います。』
不死川「話の分からねえ野郎だとは思わなかったよ。いいか、此奴は鬼だ。元々が人間だったか如何かなんて鬼になっちまった今そんな事は関係ねえんだよ。此奴を此処で許せば、最悪の場合どんな結末が待ってるか、考えなくても分かるだろう。」
真っ直ぐに私を見据える不死川さんは、柱として当たり前の事を言っている。煉獄さんも悲鳴嶼さんも、伊黒さんも宇随さんも、彼等が言う事は何も間違ってはいない。
隣に座るしのぶさんが、心配そうに私を見ているのが分かる。富岡さんも、まさか私が此処で強く意見するとは思っていなかったのだろう。珍しく驚いた表情をしている。
『…鬼は悪です。どんな事情があろうと、どんな背景があろうと、鬼が鬼である事に変わりはない。私は鬼を哀れんではいません。』
不死川「だったら…!」
『ですが事実、禰豆子は人を食っていないそうじゃないですか。二年もです。人間である私達が二年食を断つ事はどんなに強靭な精神力を持っていようと不可能です。鬼にとっての飢餓は、人間の其れよりも恐ろしいと聞く。それなのに禰豆子は、その箱の中でずっと耐えていた。傍で炭治郎が戦っていたのなら、血の匂いだって感じていた筈だ。本気を出せばその箱を破る事も、自分を止める炭治郎を殺す事も簡単な事。それでも、そうしなかった。それが答えだと、私は思います。』
炭治郎「っ…」
涙を流すまだ幼いこの少年は、その小さな身体で、どれだけの苦悩を背負ってきたのだろう。家族が殺され、妹は鬼になり、恐ろしかった事だろう。禰豆子もまた、自分の目の前で家族が殺されていく様を見て、どれ程怖かっただろう。痛かっただろう。
『…炭治郎、良く、此処まで来たね。』
悍しい記憶に、厳しい訓練に、途方に暮れた事は一度や二度ではないだろう。それでも彼は妹と共に戦って、妹もまた、そんな兄の心を支え続けた。
素敵な兄妹愛、そして鬼殺隊に入って以来一番の、希望だ。
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廣岡唯 - 面白い続きが観たい… (11月12日 17時) (レス) @page22 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
天霧(プロフ) - めっちゃ最高です。続きが気になります。更新気長に待ってますので頑張ってください! (2021年9月27日 22時) (レス) @page22 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
儚(プロフ) - 七稀さん» 七稀さん、読んでくださってありがとうございます。ゆるゆると更新していくので、これからもよろしくお願いいたします! (2020年5月17日 2時) (レス) id: 375c81672d (このIDを非表示/違反報告)
七稀(プロフ) - めっちゃ好きです!これからも楽しみにしてます!! (2020年5月16日 21時) (レス) id: e9601a34de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕月 | 作成日時:2020年5月9日 2時