3話 ページ4
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前世の記憶を取り戻してから数日、退院の日を迎えた。
あれから沢山の人がお見舞いに来てくれて、毎日賑やかだった病室を出る。
…私、少年探偵団とも仲良しだったんだなあ。
いやあもう私の適応力を褒め称えてほしいくらいだよ。まじで。
病院の出入り口へ向かうと、私を迎えに来てくれたであろう蘭とおっちゃん、そしてコナンくんが待っていてくれた。
この世界の私に、親はいない。
私の5歳の誕生日、いつものように母と笑顔で別れた保育園へ、夜になって迎えに来たのは警察だった。
訳も分からないまま、警視庁に連れられ、そこに迎えに来た親戚に引き取られた私が耳にしたのは、
‘‘警察だった両親が過去に逮捕した人物の逆恨みにより、自宅で滅多刺しにされ、殺された。’’
犯人は直ぐに捕まったが、テレビでも報道され、私が引き取られていた親戚の家を報道陣が囲む毎日。
そんな時、しびれを切らせた親戚は私を施設に預けたのだ。
…いや、捨てたのか。
まだ幼かった私には何度か里親に引き取られる話も出たが、両親の話を耳にすると引きつった笑みを浮かべ、みんな揃って「この子は辞める」と言った。
少し経って、小学校に入学した時出会ったのが新一と蘭。
両親の話を聞いた子は皆、ママやパパがそう言うからと、私から離れて行ったのにも関わらず、ふたりは私から離れて行かなかった。
…うんうん、そこらへんの記憶もしっかりしてる。
気付けば物心もついて、高校に入学すると同時に施設を出て一人暮らしを始めた。
両親もおらず、頼れる親族もいない私でも平凡な毎日を送っていた最中の出来事。
階段から落ちた私は前世を思い出したのだ。
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作者名:ゆあ。 | 作成日時:2019年10月10日 17時