[五章]-7 ページ39
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先程の様な強大な妖気は消されていた。呆然とする私を気にせず、狒々さんは最初に居酒屋で会った時の様な人懐こい笑顔を見せている。爪は短く、獣の毛が生えていたのを戻した片手を差し出して、握手を求めてきた。
「これからは仲良くやろやー。ま、ワトソン君は渡さへんけどなぁ!」
…………これ、単純にヤキモチ焼いたんじゃないの。
───……
それから狒々さんはこの後も食い逃げ犯を探すと言って、さっさと帰って行った。私はというと、主に狒々さんだけれど、色々あったせいでどっと疲れてしまい、ベンチに腰掛けて深く溜め息を吐いた。
狒々さんはつまり、"あの"狐さんが仲良くしている私が気になって、調べてみれば祓い屋で。元々戦闘は好きだけど最近は平和だったからそんな機会は無く、祓い屋なら多少はやるだろうし久々に戦ってみたかったと。
更に、もし狐さんと仲良くする私が面白味のない人間だったら、狐さんの為にさっさと殺そうって思っていたのもある。ここはヤキモチも半分混ざってる。
「……みたいな感じかな、きっと」
ガサリ、狒々さんから貰った食い逃げ犯の絵を広げて見てみる。……これ、本当に食い逃げ犯追ってたのかな。私と戦いたかった口実……だったりしないか。
「……まぁいっか」
取り敢えず難は逃れたので良しとする。何となく、狐さんのあの緩やかな空気を恋しく思った。
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朝霧(プロフ) - 丸メガネさん» 語彙力が無くなる程とは……有難いお言葉、本当に嬉しいです!しっかり完結させるつもりですので、これからも気中に読んで頂ければ幸いです。有難うございます! (2018年8月17日 11時) (レス) id: eaa2cca1e2 (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ(プロフ) - え、もう好き。語彙力無くなるくらい好きです。お忙しいとは思いますが、どうか更新停止せず完結まで持っていってください。お気に入りに追加してるので通知いつも楽しみにしてます。頑張ってくださいね! (2018年8月16日 23時) (レス) id: 2b4c29f1fe (このIDを非表示/違反報告)
朝霧(プロフ) - SAKANAさん» コメント有難うございます、お気に召された様でとても嬉しいです!小説内の進展速度は遅いですが、これからも何卒気長に見守って頂ければと思います……!更新頑張ります! (2018年8月13日 16時) (レス) id: eaa2cca1e2 (このIDを非表示/違反報告)
SAKANA(プロフ) - こういう小説すきです…とても好きです、ありがとうございます…更新頑張ってください陰ながら応援しています… (2018年8月12日 23時) (レス) id: a3a9931e24 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧(プロフ) - 咲良さん» 有難うございます、初めてコメントを頂けたので本当に励みになります。これからも何卒宜しくお願いしますね! (2018年8月3日 0時) (レス) id: eaa2cca1e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朝霧 | 作成日時:2018年7月24日 4時