［二章］-1 ページ14
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肝試しの翌日。疲れていたのか、朝と昼の間頃に目が覚めた。昨日のことを思い返しながら顔を洗う。
沢山の妖怪。恐らくそれらを引き連れていた大元。炎に……狐さん。
───なんで狐さんは私の家を知っていたんだろう。
はた、と考え至る。思い出してみればそうだ。私は昨日廃校舎の体育館で気を失って、それから目を覚まして送り届けられるまでに一度も自分の家の場所を伝えていない。
……然し今は時代が時代。祖父は神社の神主だし、祓い屋なんて仕事をしている自分の住所なんて、調べれば直ぐに分かるのかも知れない。
そう思って深く考えないことにした。
「……あ、そうだお礼……」
────……
所変わって、狐さんの屋敷前。私は菓子折りを手に、その場所を訪れていた。……いや、ね、一応昨日助けてもらったし。それに送って貰ったし。お礼は言ったけど、改めて、と言いますか。
がさりと音を立てる片手に提げた紙袋。中身は近所で評判の良いケーキ屋の焼き菓子の詰め合わせだ。
狐さんて甘い物食べられるのかな。和菓子の方が良かったのかも知れないけれど、これも有名で美味しいし。嫌いだったらどうしよう。
ああだこうだと、うだうだ悩み門前を行き来する事数分。
「……ええ加減に入ったらどうです？」
「！？ え、いつから……！？」
「五分前くらいからですかね。来たみたいやしお出迎えしよかなぁ思たら、ずーっと門の前でうろうろしとるから……くっ」
痺れを切らしたように声を掛けてきたこの屋敷の主、狐は思い出し笑いとばかりに、くつくつと肩を震わせた。目撃されていたことに更に恥ずかしさが増して、かっと顔に熱が集まるようだ。
「えっと……！その、昨日のお礼持ってきたから……！」
「はー……。何ですか、昨日のお礼？」
「助けてもらったり、送ってもらったりしたそのお礼」
ずい、と菓子折りの袋を差し出す。先程笑っていた顔は何処へやら、狐さんはいつもの無表情で袋を受け取った。
「わざわざええのに……まぁ貰えるもんは貰っときますけど。有難うな」
そうして踵を返し、狐さんは屋敷の中へ入っていく。さて、私も帰るかとその場を立ち去ろうとすると、背後から声が掛けられた。
「どこ行くねん。折角やし一緒に食いますよ、ほらおいで」
ちょいちょいと手招きする狐さん。え、と戸惑いつつも、私は遠慮がちに屋敷の中へと足を踏み入れる。見上げると、狐さんは満足気にしているように見えた。
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朝霧(プロフ) - 丸メガネさん» 語彙力が無くなる程とは……有難いお言葉、本当に嬉しいです！しっかり完結させるつもりですので、これからも気中に読んで頂ければ幸いです。有難うございます！ (2018年8月17日 11時) (
レス) id: eaa2cca1e2 (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ(プロフ) - え、もう好き。語彙力無くなるくらい好きです。お忙しいとは思いますが、どうか更新停止せず完結まで持っていってください。お気に入りに追加してるので通知いつも楽しみにしてます。頑張ってくださいね！ (2018年8月16日 23時) (レス) id: 2b4c29f1fe (このIDを非表示/違反報告)
朝霧(プロフ) - SAKANAさん» コメント有難うございます、お気に召された様でとても嬉しいです！小説内の進展速度は遅いですが、これからも何卒気長に見守って頂ければと思います……！更新頑張ります！ (2018年8月13日 16時) (レス) id: eaa2cca1e2 (このIDを非表示/違反報告)
SAKANA(プロフ) - こういう小説すきです…とても好きです、ありがとうございます…更新頑張ってください陰ながら応援しています… (2018年8月12日 23時) (レス) id: a3a9931e24 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧(プロフ) - 咲良さん» 有難うございます、初めてコメントを頂けたので本当に励みになります。これからも何卒宜しくお願いしますね！ (2018年8月3日 0時) (レス) id: eaa2cca1e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朝霧 | 作成日時：2018年7月24日 4時
