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[一章]-6 ページ13

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「ありがとう……ございました……」

「ん」


狐さんはそれだけを返し、そのまま歩みを進めた。狐さんの背中で揺られていると私は何故だか穏やかな気持ちになって、ぽつぽつと言葉を零し始める。


「……今日、友達と肝試ししようって、彼処に行ったんだ」

「ほう。楽しそうでええやないですか」

「うん、でも……。皆が帰った後で良かった、巻き込まずに済んだし……」

「……」

「あれから……沢山修行したんだけど、まだまだだったなぁ……」

「……」

「結局……助けてもらって……」

「死なんで良かったんやから、もうそんな気にせんでええよ」


いつもの声色で狐さんは告げた。背中で俯いていたその言葉に顔を上げた私に、そのまま話を続ける。


「結果良ければ全て良し。収まりが良ければ何も気にする必要あらへん。次の為に出来ることをすればいいんですよ」


狐さんの紡いだその言葉は、私の胸の中にすっと溶けるように入ってきた。ネガティブに沈んで、このままじゃ前が見えなくなるところだった。
私は狐さんの後ろ髪を眺めながら、密かに頬を緩める。


「狐さんて……変な妖怪だよね……」

「何や急に。変て、失礼な」

「褒めてるよ。なんか……他の妖怪とは違う感じがするんだ」

「そらぁ、永久を生きる狐やからなぁ」

「そういうことじゃなくて……」



なんだか、あったかい気がする。





そう告げた後、狐さんからの返事は無かった。そのままお互いに無言で、私の家へ到着する。

狐さんは私を玄関先に降ろし、「ほな、おやすみなさい」と言い残して、私の返事を待たずに再び屋根を歩き、立ち去って行った。




─────……


「あったかいのは、Aの方やろうなぁ」




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朝霧(プロフ) - 丸メガネさん» 語彙力が無くなる程とは……有難いお言葉、本当に嬉しいです!しっかり完結させるつもりですので、これからも気中に読んで頂ければ幸いです。有難うございます! (2018年8月17日 11時) (レス) id: eaa2cca1e2 (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ(プロフ) - え、もう好き。語彙力無くなるくらい好きです。お忙しいとは思いますが、どうか更新停止せず完結まで持っていってください。お気に入りに追加してるので通知いつも楽しみにしてます。頑張ってくださいね! (2018年8月16日 23時) (レス) id: 2b4c29f1fe (このIDを非表示/違反報告)
朝霧(プロフ) - SAKANAさん» コメント有難うございます、お気に召された様でとても嬉しいです!小説内の進展速度は遅いですが、これからも何卒気長に見守って頂ければと思います……!更新頑張ります! (2018年8月13日 16時) (レス) id: eaa2cca1e2 (このIDを非表示/違反報告)
SAKANA(プロフ) - こういう小説すきです…とても好きです、ありがとうございます…更新頑張ってください陰ながら応援しています… (2018年8月12日 23時) (レス) id: a3a9931e24 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧(プロフ) - 咲良さん» 有難うございます、初めてコメントを頂けたので本当に励みになります。これからも何卒宜しくお願いしますね! (2018年8月3日 0時) (レス) id: eaa2cca1e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朝霧 | 作成日時:2018年7月24日 4時

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