44. これからの人生は。 ページ44
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___桜の花びらが、風に飛ばされて散っていった。
「おい虎杖、まだそれ食べるな」
「いやだって、花見と言ったら団子じゃん。団子がここにあるじゃん。食べるしかねーじゃん?」
「何なのよその理論。食べる暇あるんなら飲み物配るの手伝いなさいよ」
「‥‥真希さん。せっかくお花見するのに、何でマック‥‥」
「文句あるかよ。花見と言ったらマックだろ」
「誰も手作り弁当なんか持参しないんだよ、憂太、諦めろ」
「しゃけしゃけ」
「えぇぇ‥‥‥」
「伊地知ぃ。僕オレンジジュース飲みたい。買ってきて」
「いいい今ですか‥‥!?」
「悟、いい加減諦めろ。ここにはウーロン茶しか無い」
「僕はオレンジがいーの!!」
「駄々捏ねて子供かよ五条。‥‥うん、美味。やっぱり花見には酒だね」
「何で酒があってオレンジジュースは無いの?」
___ここに来た一年前を思い出していたAは、桜の木の下でわいわい騒ぐ彼らを見て、ゆっくりと微笑んだ。
「‥‥Aちゃんももう二年生か。時が過ぎんのって早いよな」
「Aが来た頃は、可愛い一年が来たーって皆で騒いだわよね」
「今も大して変わらんだろ」
「この前のAちゃんの進級祝いの時、憂太ちょっと涙ぐんで無かったか?」
「えっ!?ま、真希さんだってずっと後ろ向いてたの知ってるんだからね!」
「別にちょっと感動しただけだろーが!!!」
「感動はしたんだ」
「明太子‥‥‥」
「‥‥もう、十年立つのか」
「何ですか学長、しんみりしちゃって」
「‥‥いや、あの子は、随分成長したなと」
「‥‥まぁね。僕の教育が良いからね」
「私の教育だろ」
「二人とも落ち着いて‥‥」
___今までに、色んなことがあった。
なんて縛られた人生だろうと思った。何も期待してはいけないんだと思った。
けれど、それは、ただの独り善がりだったと知ったから。
「‥‥おーい、Aちゃん!虎杖くんが団子食べ尽くしちゃいそうだから、早くおいで!」
乙骨の声に、彼女は振り返った。
気付けば、皆が自分が来るのを待っていて。
「‥‥はーい!今行きます!」
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嫌いになれたら、どれだけ楽だったろう。
過去に囚われず生きるのは、凄く、難しい。
だから、私は。
貴方のことも覚えているよ。
____お兄ちゃん。
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凛音 - 涙が出てきそうになりましたが頑張ってこらえました、なぜなら目に涙がにじんで文字が見えなくなるからです。頑張ってこらえました、でも結局泣いてしまいました。本当に感動しました! (8月28日 10時) (レス) @page46 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
どこぞのオタク - 良かったです...泣きました......うぅ、是非とも夢主ちゃんには皆から「人殺しの妹」ではなく「夢主ちゃん」としてみて貰って幸せになってほしい...最高でした!! (2023年3月13日 15時) (レス) @page46 id: 625a6655ea (このIDを非表示/違反報告)
ほしふる。(プロフ) - ニコ25さん» 最高だなんて言って頂いてッ‥‥本当にご愛読ありがとうございました♡高専で皆で青春してる感じが書きたくて、楽しんで頂けたようで嬉しいです!!! (2022年6月4日 7時) (レス) id: c44e5c04c6 (このIDを非表示/違反報告)
ほしふる。(プロフ) - メロさん» 本当にご愛読ありがとうございました!!毎度メロさんのコメントに支えられていると言っても過言ではないです!!!二週目なんて嬉しいです‥‥!これからも宜しくお願いしますッ! (2022年6月4日 7時) (レス) id: c44e5c04c6 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ25 - マジで最高でした!!!!!高専の皆のわちゃわちゃ感最高すぎる......(≧∇≦)ありがとうございました!!! (2022年5月31日 23時) (レス) @page45 id: 270b34836a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほしふる。 | 作成日時:2022年4月2日 19時