43. ごめんなさい。ありがとう。 ページ43
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五条と乙骨に連れられて、高専へ戻った。寮へ戻るべく廊下を歩いていると、Aは無意識に自分の手をぎゅっと握っていて。
それに気付いた乙骨が、彼女に優しく「Aちゃん」と声を掛ける。
「皆に会うの、怖い?」
「‥‥‥‥」
「‥‥大丈夫。皆、Aちゃんのこと、とっても心配し」
「Aッッ!!!」
彼女は、目を見開いて、後ろを振り返った。この声って。
彼女の名前を大声で呼び、必死な表情でこちらに走ってきたのは、真希だった。後ろからパンダ、狗巻、それに虎杖達も来ている。
やがて、真希が息を弾ませながら、驚いて動けなくなっているAの正面に立って、そして。
___Aを、強く強く抱き締めた。
「ま‥‥きせんぱ」
「ごめん。ごめん、ごめんなッ。ほんとにごめんな。Aが夏油の妹だって知った時、一瞬、そういう目でお前のこと見た。
‥‥そんなバカなことねぇよな。Aは、私らの、大切な後輩なのに」
‥‥涙が溢れた。大切な後輩だと、言ってくれたこと。乙骨と同じように、心から、謝ってくれたこと。
当たり前の反応なのに。貴方が悪いわけじゃないのに。
それなのに、この人達は。
「‥‥憂太から聞いたよ。だけどな、A。俺はパンダだから、お前が夏油の妹だろうがそんなこと気にしねーよ。‥‥だって、お前は俺達の可愛い後輩だもん」
「しゃけ。明太子。すじこ。高菜。
(訳:そうだよ。‥‥最初はちょっとびっくりしたけど、でも、俺はAちゃんが好きだから。これからも一緒に居たい)」
「‥‥俺はさ、正直その、えっと夏油?だっけ?そいつと面識無いからさ。だから俺はこれまで通り、Aちゃんとまた映画見たりしたいと思うよ」
「同感だ。‥‥そんなことで、Aに対しての態度を変えたりなんかしねぇ。お前の兄がどうのより、俺は、お前と過ごした時間の方が大切だ」
「そーよそーよ!私、これからもAとショッピングとか色々行きたいんだから!そんなことで悩んでないで、これからのこと考えましょーよ」
‥‥あぁ。何を悩んでいたんだろうと思うくらい、先輩たちの言葉が、私の心にすうっと沁みていく。
良いんだろうか。先輩たちの手を取っても。これからも、同じように、先輩たちと一緒に居ても。
さとるくんが、にっこり笑いながらこちらを見てる。
「ほら、大丈夫だったっしょ?」
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凛音 - 涙が出てきそうになりましたが頑張ってこらえました、なぜなら目に涙がにじんで文字が見えなくなるからです。頑張ってこらえました、でも結局泣いてしまいました。本当に感動しました! (8月28日 10時) (レス) @page46 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
どこぞのオタク - 良かったです...泣きました......うぅ、是非とも夢主ちゃんには皆から「人殺しの妹」ではなく「夢主ちゃん」としてみて貰って幸せになってほしい...最高でした!! (2023年3月13日 15時) (レス) @page46 id: 625a6655ea (このIDを非表示/違反報告)
ほしふる。(プロフ) - ニコ25さん» 最高だなんて言って頂いてッ‥‥本当にご愛読ありがとうございました♡高専で皆で青春してる感じが書きたくて、楽しんで頂けたようで嬉しいです!!! (2022年6月4日 7時) (レス) id: c44e5c04c6 (このIDを非表示/違反報告)
ほしふる。(プロフ) - メロさん» 本当にご愛読ありがとうございました!!毎度メロさんのコメントに支えられていると言っても過言ではないです!!!二週目なんて嬉しいです‥‥!これからも宜しくお願いしますッ! (2022年6月4日 7時) (レス) id: c44e5c04c6 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ25 - マジで最高でした!!!!!高専の皆のわちゃわちゃ感最高すぎる......(≧∇≦)ありがとうございました!!! (2022年5月31日 23時) (レス) @page45 id: 270b34836a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほしふる。 | 作成日時:2022年4月2日 19時