お前ら後輩愛しすぎかよ。【呪術廻戦／逆ハー】

32. あの日からあの子供は。 ページ32

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「‥‥‥あの子は、上手くやれているのか」






＿＿＿窓から差し込む西日が影を落とす学長室で、夜蛾が目元のサングラスを指で押し上げながら目の前の男にそう問うた。

五条は部屋の棚に置かれた夜蛾特製のぬいぐるみをいじくり回しながら、「僕はやれてると思いますけどね」と軽い調子で答える。

夜蛾は、そうやって五条が自身の感情をひた隠しにしたがっているのだと知っている。








「あいつらが何かとAに構ってやってますから。Aも別に難ありな性格じゃなかったし、人に好かれやすいですし。

‥‥まぁ、あそこまで悠仁たちと仲良くなるとは思わなかったけど。なんか僕と話す時間あんまり減ったし」








‥‥少し拗ねているとも取れる言い方をした五条に、夜蛾は内心やれやれと呆れた。








「‥‥‥で、伝えてないのか、あの子は」








五条の視線が、目隠し越しに夜蛾を貫いたような、そんな気がした。







「‥‥言うわけ無いでしょーよ」

「このままじゃ、あの子は一生救われないぞ」

「本人の意向なんです。僕らがそれを否定するわけにはいかないでしょ」








夜蛾が五条の言葉を聞いて押し黙ると、五条は薄く笑って「別に学長を責めてるんじゃない」と言った。









「‥‥‥僕だって、Aに関しては、もうどうすればいいのか分からない」









‥‥憂いを吐き出すような、そんな言葉に、夜蛾は五条の本音が表されていると思った。









「‥‥お前は良くやってるよ」

「‥‥誉め言葉ですか？どーも」









＿＿＿俺だって、分からない。と夜蛾はため息をつく。


どうすればあの子は、幸せになれるのだろう。







いや、あの子が幸せになれる日など、本当にくるのだろうか。

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