11. まさかの王子様。 ページ11
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「‥‥わり、ちょっと強く叩き過ぎた。立てるか?」
「‥‥うぅ‥‥‥‥た‥‥て‥‥‥ます‥‥」
「よし。練習再開だ」
Aが死んだ顔でヨロヨロとその場から立つと、真希は満足げに頷いた。‥‥近接はまだまだだし、戦闘経験もほぼ皆無っぽいが、根性はある。
こりゃあ化けるぞと思いながらも、真希が素早くステップを踏みながら彼女に詰め寄ると、Aはそのスピードに目をひん剥く。
慌ててAが振った木刀をひらりとかわし、貰ったと勝利を確信しながら今度はAの肩に軽く木刀を当てようと、それを振り上げたその刹那。
Aがまた痛いのがくる!と思ったのか、その場でギュッと目を瞑った。それを見て一瞬、真希の太刀筋が鈍る。
___Aの体に、木刀は当たらなかった。ただし理由は真希が彼女の体に当てるのを躊躇ったせい、というわけではなく。
「‥‥‥おい、悠仁、お前なにしてんだよ」
「‥‥あ、やべ」
Aがその声に恐る恐る目を開けて‥‥そして驚いた。
何故か、向こうにいた筈の虎杖が、Aの前に立ちはだかり真希の木刀を腕に受けていたからだった。真希の顔がさっと険しくなり、虎杖は自分がやらかしたことにやっとこさ気付く。
「‥‥Aちゃんが目瞑ってるの見たら、その、体が勝手に動いたと言いますか‥‥」
「部外者は入ってくんな!!こいつの為になんねーだろーが!!」
「だってAちゃんにそんな強く当てんの可哀想じゃん!!」
「別にこいつを怪我させようと思って当ててんじゃねーよ!!」
「ほら!!先輩がさっきAちゃんに当てたとこ、おでこ赤くなってるし!!」
真希が「あ?」とぽかんとしているAの額に視線を向けると、確かに前髪から覗く額は真っ赤に染まり、今にもたんこぶが出来そうな状態だった。
‥‥それを見た真希は決まりが悪くなり、「‥‥わりぃ」とAに再度謝りながら近付いて、彼女が一瞬反応が遅れるより先に彼女の前髪をぺらりとめくる。
「‥‥女の顔に傷付けさせたらダメだよな。硝子さんとこ行くか」
びじょにせまられている。しかもしんぱいそうなかおで。
「だっ‥‥いじょぶ、です‥‥‥。これは、その、私が不甲斐ないせいで出来たものなので、えっと‥‥。じ、自分を戒められるというか」
「A、お前‥‥良いヤツだな‥‥」
「なんか良い子過ぎて泣けてくる俺」
「お前は取り敢えずあっち行け」
12. 彼女が鬼は共通認識。→←10. 衝動が抑えられなかった模様。
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凛音 - 涙が出てきそうになりましたが頑張ってこらえました、なぜなら目に涙がにじんで文字が見えなくなるからです。頑張ってこらえました、でも結局泣いてしまいました。本当に感動しました! (8月28日 10時) (レス) @page46 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
どこぞのオタク - 良かったです...泣きました......うぅ、是非とも夢主ちゃんには皆から「人殺しの妹」ではなく「夢主ちゃん」としてみて貰って幸せになってほしい...最高でした!! (2023年3月13日 15時) (レス) @page46 id: 625a6655ea (このIDを非表示/違反報告)
ほしふる。(プロフ) - ニコ25さん» 最高だなんて言って頂いてッ‥‥本当にご愛読ありがとうございました♡高専で皆で青春してる感じが書きたくて、楽しんで頂けたようで嬉しいです!!! (2022年6月4日 7時) (レス) id: c44e5c04c6 (このIDを非表示/違反報告)
ほしふる。(プロフ) - メロさん» 本当にご愛読ありがとうございました!!毎度メロさんのコメントに支えられていると言っても過言ではないです!!!二週目なんて嬉しいです‥‥!これからも宜しくお願いしますッ! (2022年6月4日 7時) (レス) id: c44e5c04c6 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ25 - マジで最高でした!!!!!高専の皆のわちゃわちゃ感最高すぎる......(≧∇≦)ありがとうございました!!! (2022年5月31日 23時) (レス) @page45 id: 270b34836a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほしふる。 | 作成日時:2022年4月2日 19時