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嘘重ね ページ8

「棘、お見合いすんだな」

「…しゃけ」

教室に入ろうとしたときに聞こえてしまった。

きっと彼なら引く手数多だろうな、なんて。

不安と焦燥感に駆られ、

手に汗を握って、脚を震わせていた。

「おい、A。何してんだよ早く入れ」

「あっ、ごめんね真希ちゃん!おはよーみんなー」

悟られないように、

悟られてしまったら、きっと、

彼を困らせてしまう。

彼の優しさを利用して、私は嘘をつく。

そんな私はきっと狡くて卑しい。









「真希ちゃん、私ね。好きな人できた」

「棘だろ?んなこと知ってるよ」

「んーん。他に好きな人できちゃった」

「はっ?!誰だよ!」

「…ひみつー!」

「つか、ぜってー両想いだと思ってた。棘とA」

「っ…嬉しいこと言ってくれるね」

「…なんか隠してねぇか」

「なーんにも!先生に報告書出してくるね」

教室から出ると、そこには気まずい顔をした狗巻くんがいた。

「えっ、と…どうしたの?」

「…明太子、しゃけ?」

彼はさっきの話を聞いたらしい。

「ほんとだよ。好きな人できたんだ」

「…すじこ、ツナマヨ」

優しい彼ならそう言うと思ってた。

でも、本当は求めていない言葉。

寧ろ、ほしくなかった言葉。

「うん、応援してくれてありがとね」









「遅くなっちゃったな。任務長引いちゃった」

先程まで任務に出ていて、もうすぐ子供は寝る時間。

遅いし暗いし早く帰りたい。

「なぁ、姉ちゃん。暗いから俺が送っていくぜ?」

「すみません、すぐそこなので。」

腕を掴まれたので簡単には動けそうにない。

一般人に手を上げるわけにはいかない。

でも幸いここは高専に近い。叫べば誰か来てくれるかも。









そんな考えが甘かったのかな。

「叫ぼうと思ってもそうはいかねぇぜ」

私はその男性に口を塞がれた。

お酒の匂いが鼻を掠めたので、酔っているのだろう。

あぁ、嫌だ。好きでもない人にこんなことされて。

誰か、誰か。

ザザッ

物音がする方をちらっと見ると、彼がいた。

「んっ…いぬま、きく、ぅん」

「た、かな」

彼は助けようとしたのだろう。

こちらに来ようとした。

でも、

彼は来た道を戻っていった。

勘違いしてしまったのだろう。
 
私は抵抗する気力が削がれた。

なんで、嫌だよ。

私は、彼が好きなのに。

答え合わせ→←うぇでぃんぐ



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作者名:ちとせあめ | 作成日時:2021年3月4日 20時

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