４３話 ページ9
｢よいしょ、よいしょ｣
組合の襲撃を受け気を失ったA、敦、国木田の三人をどうにかして運びながら探偵社へと帰る賢治。その姿に通行人が振り向き、どれ程驚きの目を向けたであろうか。
然し、そんな視線も気にする事なく賢治は歩みを進めた。
歩いていると前方に砂色の外套を羽織った長身の男が両手を懐に入れながら此方を見つめていた。
賢治はその男の姿を目にすると片手を掲げ大きく手を振った。
｢あー！太宰さーん！｣
｢やぁ賢治くん。待ってたよ｣
｢え？僕をですか？｣
｢まぁね。聞いたよ。ポートマフィアと組合の奇襲に遭ったんだって｣
その言葉に少しの疑問を持った賢治は頸を傾げるも太宰の一言で直ぐにそんなものは消えた。
｢そうなんですよー。今皆さんを探偵社へ運んでいた最中なんです｣
｢成程ね。でも三人も運ぶのは大変だろうから私も手伝おう。Aを貸してくれるかな？｣
｢本当ですか？じゃあお願いしますー｣
太宰の交渉に軽く応じ背負っていたAを太宰へと手渡す。
受け取ってAの状態を見ると、太宰の顔の眉が寄り目が細まった。
Aを横抱きに持ち、来た道へと脚を向ける。
｢じゃあ悪いけど、私は先に帰るよ。
ーーーー遣る事も出来たしね。与謝野女医には二人の事も私から伝えておくよ｣
｢判りましたー。僕ももう少しで帰りますね｣
そんな賢治の声ににこやかに笑みを浮かべて返事をし、向けた脚を進めた。
歩きながらも、太宰の意識はAに向けられている。
本来なら賢治ともに帰るのが筋なのだが、躯のあちこちに深めの傷を負い、更には腹と脇腹に刺傷まである。
そんなAを放っておくなんて云う選択肢は太宰の頭には存在する筈もなかった。
｢Aもう少しだよ。私がちゃんと扶けるからね｣
その囁くような優しい声は気を失っているAに届く事はなかった。
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麗(プロフ) - 続きを読める事を楽しみにしてます！ (2021年5月13日 7時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
双黒最高か！！！ - 更新待ってます(´TωT`) (2020年8月30日 15時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - 詠留さん» いつも読んで下さり有難うございます！おお！そう云うお話丁度番外編で考えてました〜！いえいえ、とんでもないです！リクエストやこう言ったお言葉は凄く嬉しいです！ 有難うございます！これからも頑張りますね！ (2019年9月28日 8時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
詠留(プロフ) - いつも楽しみに読んでます！リクエストですが、中也と会って嫉妬させたいです！ヤンデレにならない程度に……忙しいのに面倒臭いリクエストすいません！応援してます！頑張ってください！殿堂入りおめでとうございます (2019年9月27日 23時) (レス) id: b30345f3c7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - かあやさん» いつも読んで下さり有難うございます！とても嬉しいお言葉です！ リクエスト有難うございます！ ほぉー！そのシチュは凄く良きです！変な方向に行ってしまいそう笑 ご期待に応えられるよう頑張ります！更新も頑張りますね！ (2019年9月26日 18時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみる | 作成日時：2019年9月2日 1時
