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28,彼女の元へ ページ28

何かを急ぐ様に歩く太宰に一つの電話が掛かってきた。









表示されている名前を見て少し眉を寄せて電話に出た。









「やぁ太宰君。任務お疲れ様。今回は長かったね」









「ええ。ですがもう済みました。情報等は全て芥川君に任せています。」









「そうかね。其方は任せるよ。
それで太宰君に頼まれていた例の件だがね・・・」









「Aに、何かあったんですか」









「ここ数日連絡が途絶えてしまっていてね。
ーーー君が恐れていた最悪の事態になっているかもしれない」









その言葉に足早に歩いていた太宰の足は止まった。否、止めらされた。









「どう云う事ですか。連絡が取れないなんて聞いてませんよ」









「すまないねぇ。だが、君のお陰でポートマフィアへの被害も大分減るだろう。
迅く彼女の処へ行ってあげなさい」









「云われなくてもその積もりです。報告は後でします」









電話を切った太宰はすぐ様駆け出した。









時間が惜しかった。一秒でも速くAの傍に行く為に無我夢中で只ひたすらに走った。









そしてAの家の玄関まで到達し、持っていた
合鍵で鍵を開ける。









入ると中は驚く程に静かで、何より其れが太宰の中の不安をより一層掻き立てた。









不安を拭う為に居間へと移動する。
部屋の全貌が見えたと同時にその光景に太宰は目を見開いた。









Aは仰向けになって床に倒れており、以前逢った時よりも躯は痩せこけ、顔には生気を感じられなかった。









「Aっ!!」









太宰はすぐ様駆け寄って抱き起こしひたすら彼女の名前を呼び続けた。









「A!しっかりするんだ!目を開けてくれ!
Aっ!!!」









Aは以前、目を開ける事はない。









「起きてくれA!私はまだ・・・きちんと君に伝えられてない事があるんだ!
だから・・・目を、開けてくれ・・・A・・・」









流れた涙がAの頬へと一つ、また一つと落ちる。









Aの左手にあったカーネーションの髪飾りが、
丁度月明かりに照らされて、鈍く光を放っていた。

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ユリア(プロフ) - すごく泣きそうになりました!でも、とてもいい結末だなーと思いました。 (2023年2月3日 23時) (レス) @page40 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
小指よくぶつける - めっちゃ泣いた。……!! (2020年8月27日 23時) (レス) id: eb8322ff5b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - 粉雪餅さん» 嬉しいお言葉有難うございます!楽しんで頂けて私もとても嬉しいです!有難うございました! (2019年9月21日 13時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
粉雪餅 - ゆうみるさん» 面白かったです!とっても泣きそうになりました!小説面白かったです (2019年9月21日 8時) (レス) id: bd26a6d5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - ななさん» 最後まで見て下さったんですね!!有難うございます泣 本作品楽しんで頂けたでしょうか?次回作はまだ思い付いてはいませんが次がありましたらまた見て頂けると嬉しいです!本当に有難うございました! (2019年8月26日 11時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆうみる | 作成日時:2019年7月21日 8時

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