貴方とのさよならを

１４，医者として、首領として ページ14

目が覚めると、見慣れた天井があった。








･･･なんて事が以前もあった気がする。デジャブだ。








そのデジャブも前回とは少し違うらしい。








｢目が覚めたかね？｣









｢･･･はい。首領｣








｢中也君から連絡を受けて来て看たら驚いたよ。
前より随分悪くなってるじゃないか｣









｢治らないと仰ったのは首領ですよ。悪化しても仕方ありません｣









｢その悪化の仕方が問題なのだよ。私の言い付けを守っていないね｣









｢････すみません｣









｢其れから医者としてはっきり云おう。君にはもう
時間はない。前よりも少し進行が迅まっている。君の身体は後二ヶ月、三ヶ月持つかだ｣








｢･･･そうですか｣









｢分かっていたのかね？｣









｢何となく、ですけど｣









｢そうか。なら話は疾い。君にはポートマフィアを抜けて貰う｣









その言葉に私は唖然とした。自然と蒲団を掴んでいた手に力が入る。








｢何故です･･･。私は最期まで組織の為に･･･っ｣









｢これは首領としての直属命令だよ。
其れに最期位は自分の為に時間を使うといい。｣









｢･･･分かりました。では、組織を抜けるまでに
一週間だけお時間を頂けないでしょうか。｣









｢良いとも。きちんと準備をしてからいきなさい。あ、それと今飲む用に此処に薬置いといたからね｣









｢はい。有難うございます。｣









私は完全とはいかないけれど前身で礼を尽くすようにお辞儀をし、首領を見送った。









その首領なりの優しさに少し涙が出そうになったのは云うまでもなかった。

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