6. ページ6
.
.
.
大倉「橋本、元気出してな？もしあれやったら、俺から横山くんに言うてもええけど」
『んーん、平気。あんがとね』
.
放課後、リュックを肩に掛けながら私に声を掛けてくる大倉。
流石にそこまで甘えられないし、一言お礼を言うと 嬉しそうに口角を緩めた。
.
大倉「いーえ。あ、せや。これあげるわ」
.
ふと、何か思い出した様にブレザーのポケットを漁り、取り出したものを私に握らせた。
握られた手を開くと、そこには小さな白くまのストラップ。
.
『え、可愛い！てか、貰って良いの？』
大倉「おん、俺こんな可愛えの付けへんし(笑)今日買ったお菓子のおまけやけど」
『やった、ありがとう！通学カバンにつけよっと』
.
掌にころんと転がるその小さな白くま。
真っ黒なお目目はくりくりで、ふわふわの白い体で。
何だか、横山先輩に見えた。
.
『さて、帰るか…』
.
真琴は部活で一緒に帰れず、自転車通学の大倉とは校門で別れた。
1人になった私は、重い足取りで駅へ向かう。
学校も終わって、憂鬱な事なんかないのに。
.
『…あ…』
.
校門を出て2、3歩。足が止まってしまった。
視線の先に、白いもこもこのマフラー。
横山先輩が、お友達であろう男の先輩と仲睦まじく喋っていた。
あんなに声出るんだ、っていうくらい楽しそうに笑ってて。
あー、やばい。目頭熱くなってきた。
そんな私の視線を感じたのか、暫くして横山先輩の視線は ちらりと私に向けられた。
あ、やばい。気まずい。
.
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 300人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃこ。 | 作成日時：2020年1月5日 2時
