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『…やっぱ大倉について来て貰ってよかった。ここ怖い』
大倉「あっはっは、大袈裟やなぁ(笑)あ、何組の人のか分かるん?」
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がやがやと騒がしい3階の廊下。
私の手元を覗き込むと「あ、横山くんやん」と呟く大倉。
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『え、知ってんの⁉』
大倉「おん、仲良うしてもらってるし。てか、また落としてるやん、何回目やねん(笑)」
『そんなに落としてるんだ、これ』
大倉「生徒手帳だけやないで、鍵、財布、ケータイ、リップ…その生徒手帳も、前のんが見付からなくて再発行してもらった言うてたし」
『へえ…』
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しっかりしてそうなのに、意外だな。
なんか、そんなとこも可愛い。
ほな、D組行こかー、とどんどん歩き進む大倉の背中を追い掛けた。
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大倉「さー、おるかいな!」
『うぅ、緊張すんだけど』
大倉「何で緊張するん(笑)」
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D組の入り口扉から顔を覗かせ、キョロキョロと辺りを見渡す大倉。
その横で、先輩からの痛い視線をひしひしと感じ怯える私。
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「おー、大倉やん。何してるん。」
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背後から聞こえる声に振り向くと、目の前にもこもこさん。
うっわ…近くで見るとさらに綺麗…
私今、口ぽかーんと開けてアホ面してると思う。
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大倉「あ、横山くん!もー、また生徒手帳落としたやろ!橋本が拾ってくれたんやて」
横山「橋本…?…あ、」
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私の苗字を呟き、首を傾げてから 隣に居る私に視線を向ければ 何かに気付く様に声を漏らした。
あぁっ、目!目が合ってる…!
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横山「…ども、」
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ふい、と視線を逸らしたかと思えば私の手から生徒手帳を受け取り、聞こえないくらいの小さい声で呟いた。
…あれ、嫌われた?
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横山「そういえば大倉、ヒナが貸した漫画まだ返ってこおへん言うてたで」
大倉「うわっ、やば…橋本、村上くんが戻って来る前に帰るで!」
『う、うん』
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大倉に村上さん、の事を言い付ける…横山さんの顔は、すごく無邪気だった。
私には向けなかった、子供っぽい笑顔。
もしかして、私と毎日顔合わせてるの…気付いてる?
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作者名:ちゃこ。 | 作成日時:2020年1月5日 2時