万事休す ページ20
もうすぐ夕方になるせいなのかそれとも森が巣のせいなのか烏の声とともに飛び交う。
喉元を鳴らして森へと踏み入った。
「この道を辿れば見つかるかな？」
「御者の人が通った道だからね、それにもうそろそろ光る頃なんじゃない？」
「なんだか薄気味悪いとこですね」
盗賊が住み着きそうな所にはうってつけってか。
少し霧が出ていて如何にも気味が悪い。
「ちょっと私上から見てきますね」
そう言って木の上へと飛び乗りた。
そして周辺で一番大きな木を見つけてそこの天辺へと登った。
「少し見やすくなったと思ったのに･･･」
奥に行くほど霧が濃くなっていて入ったら私でも迷いそうだ。
やめた方がいいかも。
そう思い急いで白雪とオビの所へと戻った。
＊
「行っちゃった」
白雪は呆気からんと驚いた顔をする。
すると、オビが周りを見出す。
いや、何かに囲まれた気配。
「お嬢さん、下がってて」
そう白雪を背中へと隠すオビ。
霧も日が落ちると同時に濃くなっていく。
やばいな。
そう冷や汗をかいて苦笑いをする。
「オビ･･･どうしたの？」
「何かに囲まれてる」
すると矢が自分たちに向かってきた。
オビは得意の反射神経ですぐに白雪を庇って避ける。
そして霧の中から笑いながら盗賊達が現れた。
「赤髪とか良い値で売れそうだな。装飾品も豪華だしこれは当たりなんじゃねえか？」
「･･･っ！」
白雪は顔を強ばらせて拳を強く握る。
霧も濃くなってきたし賊の人数も多い、お嬢さんもいる。
やばいな･･･。
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作者名：あるみ | 作成日時：2017年5月31日 21時
