隣の家の坂本さん-彼と私の30日-

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ぶおおお、とドライヤーの音が部屋中に響く。Aの髪の毛を触るとすごく綺麗でツヤツヤしている。ずっと触っていたいくらい。





「綺麗やな……」

『ん？なんか言った？』

「いや、髪綺麗やなって、」

『ほんま？髪褒められるってなんか嬉しいな』

「女の子ってそうなんやろうか？」

『うーん、他の人は知らんけど、髪綺麗って言われるとあたしは嬉しい』

「ふは、そっか」





ちょっと夢だったりした。彼女の髪をこうやって自分が乾かすの。ちょこん、と俺に背を向けて座っているAがほんま可愛い。





『なあ勇人さん』

「んー？」

『明日、ほんまに連れてってくれるん？』

「ん、ええよ、どうせ昼間休めるしから夜くらい平気」

『ほんまに迎えに来てくれるん？』

「おん、ええよ」

『なら、甘える』

「決まり、」

『勇人さんの高級車やー』

「はは、そんな大したもんやないし、」

『うわー言ってみたいわそんなことー』

「いつでも乗せたるし」

『やった、』

「っていうかこの間乗ったやん」

『あ、そうやんな』

「こら、動かない」

『あ、すんません』





突然両手を上げて踊り出す(何でやねん)もんだから乾かしにくくて怒ったら可愛く拗ねたA。なんなんこの生き物可愛すぎやろ。





「そのあとどっか飯でも行こか、」

『行く！』

「じゃあ店明日予約しとくから、Aは仕事頑張ってな」

『絶対定時で帰る！』

「おん、頼んだ」





誰かを迎えに行くなんて初めてやろうか。女の子を迎えに行ったことなんて今までなかった気がするから。Aがきっと初めて。楽しみやな。



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