隣の家の坂本さん-彼と私の30日-

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エレベーターに乗っていつも通りの階で当たり前に降りる。試合の状況も一応調べないとな。今日は中継やってるんだろうか。





『…っと、違う違う、』





一度勇人さんの部屋を通り過ぎてからまた戻った。やっぱり癖で通り過ぎてしまった、さっきまで合鍵の話しして居たのに。





『あ、』





部屋に入ってテレビをつけるのもいつもの癖だった。チャンネルを替えずにそのままリモコンを机に戻す。ちょうど野球中継のチャンネルだった。





−３番、ショート、坂本−





野球選手なんだなあ、本当に。なんとなくしか野球のルールは知らないけど、バッターボックスに立つ彼は、





『…かっこいい、』





この間試合を見に行った時は、てつのユニフォームばっかりだったけど。きっと勇人さんもとっても人気なんだろうと思う。





『あ、』ご飯支度しなきゃ





野球って何回までだったっけ？と思っていると、テレビの中からものすごい歓声が聞こえて来て再び目をテレビに戻すと。





−坂本、今シーズン第６号！ソロホームランです！−





ホームランを打った。昨日打ったてつのホームランよりも遠くに飛んで行った。てつのもすごかったけど、勇人さんのはもっとすごいや。





『…すごい、』





一周回って来た勇人さんがチームメイトとハイタッチをしながら嬉しそうに笑っている。顔をくしゃくしゃにして笑うところは少年みたいだ。



てつの憧れてる人だから、やっぱりすごいんだなあ。





『、いけね』ご飯支度ご飯支度





帰って来たら、どんな顔して会えばいいだろう？お疲れ様です、かっこよかった、そう言ったら喜んでくれるだろうか。



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