隣の家の坂本さん-彼と私の30日-

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『てつ、坂本勇人って知ってる？』

「は、」





ただいまーと入って来た彼に一言。てつ、と呼ばれた彼は山田哲人。彼はプロ野球選手で２つ年下の幼馴染。





「お前ほんま俺のこと知らんな」

『は？』

「坂本勇人さん言うたら俺の憧れの人やんけ」

『……そうなん？』

「何、突然、どうかしたん？」

『いや…』

「っていうか、ほんまにお前幼馴染がプロ野球選手なんやからちょっとは勉強しろや」

『……どの口がそんな口叩いてんねん』

「すんません、言い過ぎました」





慌ててソファーの上で正座をする彼が申し訳なさそうに得意の上目遣い。昔からあたしはこれに弱いんだ。なんだかんだ可愛いから、てつは。





「で、なんなん？」

『いや、最近隣に引っ越して来た人が居んねんけど』

「うん？」

『それが坂本さんらしいねんな』

「…は？」

『…ってなるやろ？』

「ほんまに言うてるん？」

『ほんまみたいやで、』





哲人と喋っていると、関西弁がなんとなく出るのは懐かしいなって思う。高校の時から東京だからなんとなく標準語も話してるから。





「ちょっと連絡してみるわ」

『は、ちょ、大丈夫なん？』

「試合終わってるから大丈夫やろ」

『…まだ帰ってきてないと思うけど』





といったタイミングのいいところでガチャガチャと隣から音が。多分今丁度帰ってきたところだろう。





「俺行ってくる！」

『は、え、ちょっ』





てつが玄関に走って向かったので、あたしも追うように玄関へ向かった。



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