たくさんの愛に包まれて ２

本当のハナシ ページ30

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『着きました、』

「ありがとう、今そっち向かうわ」

『…はい、』

「長野にばれへんようにな、」

『……はい、』





電話を切って死角になるところに立った。

ふう、っと息を吐いて少しでも緊張をほぐしてみたりする。





「Aちゃん、」

『か、亀井さん…お疲れ様です、』

「そろそろ慣れへん？俺に」

『や…無理です…』

「まあ、ええか、とりあえずあっち」





もっと人の来ないところ、と手招きをされたのでついて行く。

前に勇人と話したところだな、ここって。





『話って…』

「…俺がこんなこという立場やないことくらいわかってる、」

『…』

「…勇人の話、」

『…はい、』

「勇人、好きな人ができたってAちゃんのことフったやろ？」

『、はい』

「それは嘘で、ほんまは好きな人なんてできてない」

『え…』





壁にもたれかかる亀井さんが不覚にもかっこいいと思ってしまうあたり、

本当にあたしは亀井さんが好きなんだとこんな時でも思ってしまう





「まだ勇人は、一軍に上がりたてだったから…しかもあいつは高卒で、人気選手で……身辺整理、ってやつやな」

『…！』

「泣きながら俺に相談して来た、どうしたらええんやろって悩んで悩んで、」





−別れます…Aと、−

−勇人は、それでええんか？−

−野球を捨てることも、できませんから−





「結局、Aちゃんと別れること決意したんやで」

『…っ』





何だか勇人らしいと思う

本当に彼は野球が好きだから





「なあ、勇人はまだAちゃんのこと好きなんやで？」

『っ』

「…それでも、長野を選ぶ？」



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