たくさんの愛に包まれて ２

優しい彼らとまたね ページ25

.



『ありがとうございました、ご馳走になってしまって…本当にありがとうございます』

「ええんやってー、Aちゃんめっちゃ可愛いしええ子やし、また会ってな」

「あ、内海さんナンパ禁止！」

「してへんって！」





俺は奥さん一筋や！なんてニコニコしながら言ってる内海さんはきっとすごくいい旦那さんやってるんだろうなって思った。

今日の話聞いただけでもすごく伝わって来たし。





「じゃあ、長野また明日な」

「はい、すいませんご馳走さまでした」

「じゃあ、Aちゃんまたな！」

「Aちゃんまたね」

『はいっ、』





ありがとうございます、ともう一度頭を下げてタクシーを見送った。

内海さんと山口さんは本当に仲良しなんだな。すごくいい人たちで何だかほっこりした。





『ヒサ、』

「ん？」

『楽しかったよ、ありがとう』

「そう？良かった」

『あたしが気遣わないように気配りしてくれてありがとう』

「別に俺は何もしてないよ、」





ほら帰ろう。

そう笑った彼はあたしの手を迷いなく握ってゆっくり歩き出した。





『ねえ、ヒサ』

「ん？」

『…ううん、ありがとう』

「えー？」





ヒサはあたしの顔を見なかったからひさがどんな顔してるかは見えなかった。

でもきっと、笑ってる。





『ヒサ、ここでいいよ』

「ん、わかった」

『早く帰んなきゃまた寮長さんに怒られるよ？』

「そうだね、」

『見送りさせて、』

「えーなんか嫌だなー」

『だって、いつもあたし見送られてる』

「いいからいいから、」





またあたしの手を引いたヒサは慣れたようにタクシーを止めた。

無理やりタクシーに乗せてお金も渡される。





「じゃあ、また明日来てね」

『うん、見てるね』

「おやすみ、」

『おやすみなさい』





こんな素敵な人、

手放したらバチ当たっちゃうよね



.

大人なあなたと、→←期待していた馬鹿

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す