たくさんの愛に包まれて ２

無理なんてしてない、 ページ21

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『…ヒサのばか、』

「へへ、いいじゃんいいじゃん」

『っ緊張するよ…』





ヒサがタクシーで迎えに来たので何の迷いもなく隣に乗り込んだ。

口を膨らませるあたしの横でヒサは楽しそうに笑っている。





「大丈夫俺が横にいるから」

『そういう問題じゃないからっ』

「みんな優しい人たちだから」

『…それは想像つくけど…』

「大丈夫だよ、勇人は来ないから」

『……そこの心配はしてないよ』

「はは、ごめんごめん」

『ねえヒサ、』

「ん？」

『あたし、きっと忘れられると思う』

「何を？」

『勇人のこと、』

「そっか、」





ありがとう、と言ったヒサは今度はとっても優しく笑っていて。

目線は前を向いたままだけど、一瞬あたしを見てぽんっと頭に手を乗せた。

こんな些細なことが、ヒサとは心地がいい。





『…』

「大丈夫？」

『く、苦しい…』

「すぐ慣れるよ」

『…ヒサが恥ずかしくないようにちゃんとしなきゃね』

「ん？」

『彼女、だもん』

「そんな堅くならなくても大丈夫だよ、俺の面子とかそんなんどうでもいいの。楽しんでくれるのが一番」

『そ、そっか…』

「ん、よし、じゃあ行くよ？」

『うんっ』





ヒサは大人だ、

とっても素敵な人。



本当にあたしには勿体無いくらい。



そんな彼を

あたしは好きになりたいと思った、幸せにしたいと思ったんだ。



無理なんてしてない、

本能でそう思っただけ。



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