たくさんの愛に包まれて２ (ページ17)

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忘れさせてやるページ17

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「ねえ、A」

『？』

手を繋ぎながら、ゆっくりゆっくり並んで歩く。

あたしの家まであと数十分はかかるだろう、それでも長野さんはゆっくりゆっくりあたしの歩幅に合わせて歩いてくれた。

「ごめん、聞いたよ」

『え…』

「勇人と、昔付き合ってたんだってね」

『……っ！』

「言いたくなかったって聞いたけど、どうして？」

『わかんない、です…ただ』

「ただ？」

『長野さんには…知られたくなかった…、今の関係崩れたらどうしようって…』

「え？」

『…あたしの生活には、もう長野さんが不可欠なんです』

「どんな話聞いたって、俺はAから離れるわけないよ？」

『…ありがとうございます、』

「はは、可愛いなー」

もっと好きになった、って長野さんは笑ってて。

そんなあなたの手を少しだけ強く握ったの。

ねえ、気づいてた？

「ねえ、A」

『ん？』

「返事は急がないって、言ったけど…俺、やっぱりAのこと幸せにしたい」

『…あ、』

「勇人のことが忘れられないなら、俺が忘れさせてやる」

『っ！』

漫画みたいなセリフ。ドラマみたいなシーン。

ねえ、あたしはほんとにヒロインみたいだね。

「だから、勇人のことまだ好きでいいから…俺と付き合おう？」

『長野さん、っ』

「絶対幸せにする、忘れさせてやる」

自信あるよ、そう笑った彼はどこか寂しげで。

そっとあたしの頬を包んだと思えば、額にキスを落とす。

『っあたし…』

「ん、？」

『ずっと…長野さんのこと傷つけてる…っ』

「傷なんか付いてないよ？」

『でも…』

「？」

『長野さんのこと…幸せにしたいって思うんです…』

「うん」

『っ甘えて、いいですか…？』

「いいよ、おいで」

俺がAの全部を包むから、そう言ったあなたは今までで一番かっこよかった。

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