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「ねえ遥輝、あたしは諦めないよ」
走り去ってしまったAの背中が見えなくなっても、俺はずっとそっちの方向を見たまま動けなかった。ごめんなさい、と言っていたけど、きっとAは何とも思っていない。
「…俺は、もうリカのことは思い出にしたから」
「え…」
「もう俺は、前に進んでる」
「っはるき、」
「ごめん、ほんまに、愛してた」
最初はもしかしたら、リカを忘れるためにAに頼んだのかもしれん。でも今の俺には、もうAしかおらん。
「やだよ、ねえっ」
「リカ、」
「…やだ…絶対、やだ」
本当に愛してた。俺はきっと、リカと一緒になるんやって、ずっと思い描いてきた。
−別れなさいって言われた−
でもそれは、今絶大な人気を誇るリカにとっては重荷でしかなくて。彼女の所属事務所には、付き合うことも、会うことさえも、固く禁じられた。
−別れたくない…、−
−でも、リカやって、モデル辞めたないやろ？俺やって、野球辞めることはできん−
−…っ、−
−なあ、リカ−
−なに…？−
−絶対迎えに来るから待ってて−
−っ、！−
「…先に裏切ったのはリカの方やん、」
「！」
「俺の気持ちは、多分あの時で終わった」
リカのことを信じて、愛して、別れたのに、リカはそのあとすぐに別の男と付き合った。熱愛報道も出て、パパラッチにも撮られたのだから、正直あれはこたえた。
「今でも、付き合っとるんやろ？」
「…」
「今の彼に、幸せにしてもらって」
「…はるき」
「リカを幸せにできるのは、俺やないから」
するり、とリカの腕から自分の腕を解いた。力がなくなったリカの腕は、ぶらりとあるべき位置に戻った。
「さよなら、リカ」
「…遥輝、」
「…愛してたで、」
きっと、俺以外の誰かと、幸せになって。
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いちか(プロフ) - hytさん» お返事がすごく遅れてすみません…ありがとうございます！頑張ります★ (2019年7月7日 23時) (
レス) id: 659890526f (このIDを非表示/違反報告)
hyt(プロフ) - 一気に読んでしまいました！これからも楽しみにしています！ (2019年6月11日 3時) (レス) id: 62379d56f6 (このIDを非表示/違反報告)
いちか(プロフ) - まあさん» とっても嬉しいコメントありがとうございます★頑張りますのでまた来て頂けると嬉しいです！◯ (2019年5月21日 0時) (レス) id: 659890526f (このIDを非表示/違反報告)
まあ - 話に入り込みやすくて面白いです いつも更新楽しみにしています (2019年5月20日 18時) (レス) id: 6cf43df188 (このIDを非表示/違反報告)
いちか(プロフ) - 。さん» ご指摘ありがとうございます。 (2019年4月8日 7時) (レス) id: d72f7e0d49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いちか | 作成日時：2019年2月24日 0時
