まことの恋

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ｰAside

氷月「シノさん、飲んでますか？」



そう聞いてきたのは後輩の片岡氷月。

今日は私の勤める弁護士事務所の飲み会だ。



A「飲んでるよ。」



そう言って、氷月にグラスを見せる。

正直帰りたい。

同僚と仲が悪い訳では無いが、氷月以外とはあまり話さないのでこう言った集まりは苦手だ。



A「…ちょっとメイク直してくる。」

氷月「はーい。」



私はポーチを手に御手洗へ向かった。

鏡の前で溜息を吐く。

メイクを直しながら、私はまた溜息を吐いた。

東雲A、29歳。

独身で彼氏もいない。



A「なーんかなぁ。」



…寂しい、と思うときが増えた。

私はポーチを片手に外へ出た。

その拍子に誰かにぶつかる。



？「わっ！」

A「きゃっ！」



体格差で弾き飛ばされて、尻もちを着く。



？「すみません、大丈夫ですか…って、Aさん？」

A「…え？」



まじまじと相手の顔を見る。

…誰だ、この怖いくらい顔が整った男の人。

知り合いにいたっけ？



？「…覚えて、ませんか？」



彼が首を傾げる。

…あ。



A「…慎くん？」

慎「そうです！」



慎くんの顔が明るくなった。

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