３ ページ50
…
「コンビニにないかなぁ。」
「…それか家に帰ってからネットで見てみる?」
「うん。そうする。」
のんびり温泉に行こうって話になって。近場で良さそうなところをマンションに帰ってから探してみた。
「A、ここと、ここ。どっちがいい?」
健人が見せてくれたところは、どっちも客室に露天風呂がついてて。お部屋も綺麗で決めがたい。
「こっちの部屋は和洋室で寝るのはベッドなの、で、こっちは和室だから布団っていう違いがあるんだけど。どうする?」
「うーん…どうしようかな。和室もいいけどお布団に慣れてないからあんまり眠れないかも…。」
「じゃあ、和洋室にしよっか。」
「健人、いいの?」
「いいよ。どっちみちあんまり眠れないと思うけど。」
「えっ…。」
意味深に聞こえて画面から彼に視線を移すと、ちょっと悪戯っぽい笑顔を見せる。
「だから、遅めのチェックアウトのとこ選んでみた。ほら。」
指差すところに、遅めの12時チェックアウトって書いてある。
「じゃ、決まりね。」
軽く頭をポンってして。余裕そうに微笑んでる。
私だけこんなにドキドキしてる?
考えてみれば、彼と旅行なんて初めて。部屋には泊まったことある、けど。
「なんか、考え事してる。」
あごに指をかけられて。そっと健人の方に向けられる。
「なに考えてんの?」
「…え、っと。旅行、初めてだからドキドキするなぁって思って。」
次の瞬間、甘く唇が重なった。
「俺も、一緒。ドキドキするけど、Aと色んな所に行って色んな景色見たい。」
気持ちが伝わる真っ直ぐな言葉に、頷くのが精一杯で。
「あとは、いつにするかだね。A月末無理でしょ?」
「うん、健人はホワイトデーが過ぎてからの方がいい?」
そしたら、健人少し考え込んで。
「ホワイトデーの夜、打ち上げあるんだよね…次の日金曜だけど休み取って、三連休にするとか、どうかな。」
「そしたらゆっくりできるね。」
「俺は来週土曜日に出勤になったから、その振替で休めるんだけど。Aは有休って取れる?」
有休かぁ。この前貧血起こした時に初めて半日有休取ったくらいで、全然取ったことがない。
でも。
もう３年目だし、１日くらい取ってもいいよね…。
「明日、結衣子さんに聞いてみる。」
初めての旅行。
どうか、夢が叶いますように。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 382人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みち(プロフ) - Blauさん» コメントありがとうございます。やっと、二人が会うきっかけができました。傷つくのって、本当に怖いものですよね。 (2017年12月7日 8時) (
レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - あこさん» コメントありがとうございます！健人くん側の出来事を知らない主人公の動揺を書きました。これからもよろしくお願いします。 (2017年12月6日 8時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
Blau(プロフ) - 好きだからこそ傷付くのが怖いですね…早く二人がちゃんと本当のこと話せますように（ ; ; ）今日も更新ありがとうございます！癒しです！ (2017年12月5日 20時) (レス) id: 32a363d169 (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - 続きが気になる！楽しみに待ちますね！ (2017年12月5日 15時) (レス) id: b6d97b5401 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - やすゆきさん» コメントありがとうございます！書きためていたところにたどり着いたので怒濤の更新させていただきました(笑)どうぞ、よろしくお願いします。 (2017年12月4日 16時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みち
| 作成日時：2017年10月28日 19時
