お家デート ページ48
…
「どうぞ。特等席を用意しております。」
マンションのドアを開けて、健人がコンシェルジュのように案内してくれる。
「えっ…何これ。」
カーテンを閉めて暗くなった部屋に、ポップコーンとハンカチ。
そして、
「お姫様の席はこちらです。」
案内されたソファに座ると、ジュースを持ってきてくれて。隣に健人が座る。
テレビの電源がついて、DVDが再生されるとそれは私が見たかった映画で。
「わぁ…映画館みたい。すごい。」
「昼だから、真っ暗になんないけどね。気分だけでも味わって。」
健人、優しいの。
やっと週末になって会えたんだけど。迎えに来てくれて、疲れるから映画館じゃなくて部屋でDVD見ようって言ってくれた。しかもこんなにお姫様扱い。
「眠くなったら俺の膝で寝てもいいよ。」
「寝ないもん。」
むきになる私を見て、安心したように微笑むの。
映画は、都会で挫折した青年が田舎町に帰ってきて。思いを寄せてくるヒロインと時にはぶつかり合いながら、新たな夢を見つけて二人も結ばれるというお話だった。
すれ違って思いを伝えられないシーンで思わず泣いてしまうと、健人が肩を抱き寄せてくれた。
なんかね。
すれ違ったところが、健人の気持ちを受け入れられなかったときの私と重なってしまって。
涙が止まらなかったの。
健人の腕、力強くて安心する。
この人を好きになって良かった、って思う。
映画はハッピーエンドで嬉しくて、終わったあとも余韻を引きずってた。
「Aって正直でいいね。」
「どういうとこ?」
「映画を見て感情が動くとこ、すぐ分かるよ。」
片手でほっぺをむにってされて。抵抗しようとしたら、そのままキスされた。
「もう、なに?」
「超柔らかい、今の。もう1回していい?」
「やだ。」
からかって、楽しそうに笑うの。
そこから何度もキスされて。
でも。
それから先には進まない。
「…今日は、キスいっぱいしよ。」
「え?」
「A、まだ、体本調子じゃないから。キスまでにしよっか。」
こんなに。
大切にしてくれる人、世界中どこにもいない。
「大好き。」
抱きついたら、ちょっと慌てて。
「こら、煽らないの。」
しょうがないな、って。抱きとめてくれる。
こんなに恋が幸せだなんて、知らなかった。私よりも私を大切にしてくれる人がいるって、健人が教えてくれた。
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みち(プロフ) - Blauさん» コメントありがとうございます。やっと、二人が会うきっかけができました。傷つくのって、本当に怖いものですよね。 (2017年12月7日 8時) (
レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - あこさん» コメントありがとうございます！健人くん側の出来事を知らない主人公の動揺を書きました。これからもよろしくお願いします。 (2017年12月6日 8時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
Blau(プロフ) - 好きだからこそ傷付くのが怖いですね…早く二人がちゃんと本当のこと話せますように（ ; ; ）今日も更新ありがとうございます！癒しです！ (2017年12月5日 20時) (レス) id: 32a363d169 (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - 続きが気になる！楽しみに待ちますね！ (2017年12月5日 15時) (レス) id: b6d97b5401 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - やすゆきさん» コメントありがとうございます！書きためていたところにたどり着いたので怒濤の更新させていただきました(笑)どうぞ、よろしくお願いします。 (2017年12月4日 16時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みち
| 作成日時：2017年10月28日 19時
