月の雫２(K.Nakajima)

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…





「お薬これと、これね。総合感冒薬と咳止め…はい。」


「A、詳しいよね。なんで?」




お薬を飲みつつ、健人は不思議そうな顔してる。




「お母さんが看護師なの。今はたまに健診の仕事で出掛けるくらいなんだけど。昔はずっと働いてて、私が風邪引いてもあんまり休めなくて。お薬のこと教えてもらって飲んで一人で寝てたりしたから。」


「そっか…。」




呟くように言って。私のことを優しい目で見つめてくれる。




「どうしたの?」


「A、時間いいの?」


「…今日、泊まってってもいいかな。お母さんも健人のことみてあげてって言ってくれたから。」


「…移るかもしれないじゃん。」


「大丈夫、マスクしてるし。健人のこと、一人にしたくないの。だめ?」


「だめ。」




って言ったと思ったら布団を頭までかぶっちゃって。




「A、ホント、移らないうちに帰って。」




こんなときくらい、一人で頑張らなくてもいいのに。健人って、優しいんだよね。



「健人…今帰っても、もう移るなら移ってるし。そんなの気にしないで。私がここにいたいから、いさせてほしいの。」




そう言って、食べかけてた雑炊の残りを食べて、お風呂を借りた。


髪を乾かして部屋に戻ると、健人は眠ってて。少し汗をかいてるから、タオルでそっと拭った。




スマホを見ると風磨くんからメールが来てた。




『中島、どう?』


『熱が高かったの。今ちょっと熱下がってきて寝てる。』


『今日泊まるんだ。』


『うん。お母さんから許可でた。』


『中島、元気にしてやって。』


『了解です。』




付き合ってから分かった。健人は限界まで頑張る人なんだ。仕事に一生懸命なのは良いことだけど、どこかで力を緩めないと見ていて心配になってしまう。


私に、何ができるかな。


アラームをセットして、そっと、健人のベッドに潜り込む。いつもより布団が暖かいから、まだ熱があるんだって分かる。朝には、少し下がってるといいんだけど。

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