４ ページ16
…
カーテンの隙間から、光が射しこんでる。
…あ、そうだ。
昨夜健人のマンションに泊まったんだった。
隣には、大好きな彼の寝顔がある。
まつ毛、長い。鼻も高くて。漫画に出てきそうな感じだなっていつも思う。
そっと髪を撫でて、一緒にいられる幸せを噛み締める。
「…ん。」
健人の目がうっすら開きかけて、また閉じていく。その仕草が愛しくて。体を彼にくっつけた。
そこからまた少し眠ったみたいで。
次に目を覚ましたときには、健人はもう起きてて。私が目覚めるのを待っててくれたみたいだった。
「おはよう。」
「…おはよう。起きてたの？」
「うん、Aの寝顔、初めて見た。」
よく考えたら寝顔って、見るのはいいけど、見られるのって結構恥ずかしい。
慌てて顔を手で隠すと、健人が困ったように笑う。
「別に隠さなくてもいいじゃん。」
「だって…すっぴんだし。」
「メイクしてないとあどけなさが残ってて俺は好きだよ。」
顔を隠してる手をどけられてしまって。目を閉じてると、唇が触れる。
マスカラ塗ってないと大人っぽくならないから、自分ではコンプレックスだったのに。健人が好きって言ってくれると、ちょっと嬉しくなる。
「似合ってる…。やっぱり青にして正解だった。」
「ありがとう。暖かくて着心地もいいよ。」
昨日、突然泊まることになって健人の服を借りようと思ってたら、
『いつか泊まるときに、って思って買っといたの。』
そう言いながら差し出されたのが薄いブルーのもこもこしたルームウェア。
着てみたらサイズもぴったりで。抱き心地がいいからってずっと抱き締められててなかなか寝付けなかった。
「かわいい。」
って言いながら、トップスに手をかけてくる健人が、悪戯っぽく私に笑いかける。
私だけが見れる、彼の顔。
ベッドサイドには、昨夜はずしたままのネックレスが無造作に置かれてて。不意に昨夜のことを思い出して体が熱くなってくる。
「…あんまり見ないで。」
「なんで?」
「恥ずかしいの。髪もくしゃくしゃだし。」
「俺も寝ぐせついてるし、一緒だよ。」
そう言って、塞がれた唇がとても甘くて。
心も身体も溶けてしまいそうで。
ずっと、こんなふうに。
抱き締めて離さないで。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 382人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みち(プロフ) - Blauさん» コメントありがとうございます。やっと、二人が会うきっかけができました。傷つくのって、本当に怖いものですよね。 (2017年12月7日 8時) (
レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - あこさん» コメントありがとうございます！健人くん側の出来事を知らない主人公の動揺を書きました。これからもよろしくお願いします。 (2017年12月6日 8時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
Blau(プロフ) - 好きだからこそ傷付くのが怖いですね…早く二人がちゃんと本当のこと話せますように（ ; ; ）今日も更新ありがとうございます！癒しです！ (2017年12月5日 20時) (レス) id: 32a363d169 (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - 続きが気になる！楽しみに待ちますね！ (2017年12月5日 15時) (レス) id: b6d97b5401 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - やすゆきさん» コメントありがとうございます！書きためていたところにたどり着いたので怒濤の更新させていただきました(笑)どうぞ、よろしくお願いします。 (2017年12月4日 16時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みち
| 作成日時：2017年10月28日 19時
