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…
「ちょっと嫉妬深すぎって思ってる?」
お昼休みで人通りが多い中、私の歩く速さに合わせてくれる健人が、ポツリと言った。
「え、そんなこと、ないよ。」
嘘。
少しだけ思ってるけど。
その嫉妬をくれるのは私だけなんだと思うと、ちょっと嬉しくもあって。
余裕のない健人も、愛おしいから。
「付き合い始めに言ったよね。結構妬くって。」
「うん…。」
「俺が近づいてもずーっとスマホ見て考え込まれてたら、妬くよ。A、藤井さんって呟いてたから誰にLINEしてんのかバレバレだからね。」
あ。
確かに藤井さんって言ってしまった気がする。
ということは、あれからすぐに健人ロビーに来てたんだ。もしかして…。
「健人、階段で降りてきたの?」
「…そうだよ。置いてきぼりくらったから。あ、ここ。」
健人行きつけの洋食屋さんの前について。ドアを開けて私を先に入らせてくれる。
どんなときでも、健人は私を大切に扱ってくれるんだ。
ここのオムライスが美味しいんだよって言われて。二人で同じものを注文して。
昔懐かしい感じのお店で、仕事を忘れてしまいそうになる。
「誕生日さ、」
「うん。」
「うちに、泊まれる?」
彼の一言で、胸がきゅっとなって。
「…うん。なんとか、する。」
「ごめんね、嘘つかせるのは気が咎めるんだけど。一緒にいたくて。」
私が生まれたの、夜の22時過ぎだから。たぶん健人はその時間一緒にいたいと言ってくれてるんだと思った。
「私も、一緒にいたいから。」
視線が重なって。彼の黒目がちな瞳を、じっと見つめてしまう。
「でも。それくらいの方がいいや。」
「それくらいって?」
「Aのお母さんは、いいお母さんだよ。軽々しく外泊しないAの方が俺は安心できるからね。」
ちょっと首を傾けて、悪戯っぽく笑う。
妬いたと思ったら、そんなふうに私の心を掴んでく…なんか、ずるい。
家に帰ってから、どうやってお母さんに切り出そうか考えてたら言いそびれてしまって。
一人、ベッドの中で言い訳を考えてみる。
聖子と、ご飯食べてたら遅くなって…。
うーんそれはありきたり。しかも誕生日だし。健人くんは?って言われそう。
でも。健人の部屋に泊まるなんて。言ったらきっとだめだって言う、よね。
どうしよう…。
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みち(プロフ) - ゆらさん» コメントありがとうございます!貼れないんですよ〜(笑)何故なんでしょう…また頑張ってみますね。 (2018年6月15日 21時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - 更新ありがとうございます。これからも楽しみにしてます♪うまく繋がれるように願ってます笑 (2018年6月15日 20時) (レス) id: 7fc9c1c50b (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - イチさん» ありがとう!まじでいつも感謝です! (2018年6月15日 19時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - ねぇ私、早くない?更新されたらすぐにくるww好きですww (2018年6月15日 19時) (レス) id: be08ec388e (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - ゆらさん» コメントありがとうございます。お返事が遅くなってしまってごめんなさい!少し更新しました。結構先を書いてたりするので、どう繋げるのか悩んでます(笑) (2018年6月13日 22時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みち | 作成日時:2018年2月25日 17時