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…
「くまさん、暑いでしょ?大変ですね。」
目のとこ覗きこんで、社交辞令じゃなくて心配そうに言ってくれる。
この人、こんな優しい人なんだ。
“だいじょーぶ”
って伝えたくて頭の上で大きな丸を作ると、河合さん、笑って。
「ふふ…そっか。じゃあ、ね。」
白くて綺麗な手をひらひらさせて、去っていく。
はい。また、水曜日に会いましょう。
優しい、お姉さん…。
「…中島くん、これ。」
「あっ、ごめんなさい！」
水曜日のオフィス。
やべ、またやらかしたわ。って思って頭を下げると、
「中島くん、謝ることなんて何もないよ?」
「え?」
「だから早く頭あげて?」
「…っ、はい！」
サラサラとした長い髪。この前の、遊園地の時に似てる。
「…さっきの書類。」
「あっ、大丈夫でしたか?」
「うん。この前言ったところ、ちゃんと覚えててくれたね。綺麗に作ってくれてありがとう。」
「あ、いえ。そんな。」
あの時は、厳しい人だと思った。
だけど。
今思えば当たり前のことだ。俺が製版して印刷した書類が、会議に使われて。その先の仕事に繋がってくんだから。
「ありがとうって言いたかったの、それだけ。じゃあ、邪魔してごめんね。」
「…ありがとうございますっ。」
席に戻ってく後ろ姿が、キラキラして見えて。これは、恋の始まりだと直感した。
でも。
「河合、お盆休み実家帰んの?」
「うん。久しぶりにゆっくりしようと思って。」
「彼氏が待ってるもんなぁ。」
「もう、やめてよそんなこと言うの。」
倉田さんと話してる河合さんは、嬉しそうで。
彼氏、いるんだ。
そんなこと考えもしなかった。
ただ。一緒に仕事ができる水曜日が楽しくて、幸せで。それだけで良かったはずなのに。
この胸の痛みは、なんだろう。
甘いコーヒーの香りに誘われて給湯室に行くと、
「あっ、中島くん。余った豆があるからアイスコーヒー作ってみたの。良かったら飲んで?」
「はい、いただきます！」
念願の、河合さんがいれてくれたコーヒーだ。
いい香りですごく美味しそう。なんだ、けど。
「ミルクは?」
「あっ、はい。少しだけ。」
少しのミルクとガムシロップ。
ほんのり苦くて甘いんだ。
河合さん、俺の今の気持ちもこんなです。
いや。
結構、苦味成分多めかもしれません。
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みち(プロフ) - あやさん» あたたかいコメント、本当にありがとうございます。私の大好きな健人くんを書こうと振り切って書いた作品です。やりすぎたかな？と思った日々もありましたが、大切に思っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。 (2021年3月24日 23時) (
レス) id: 375937212d (このIDを非表示/違反報告)
あや - はじめてこの作品を読んでから何年経った今でも読みに来ちゃいます笑 ドロ刑の斑目くんで健人くんに落ちた人としては、この作品ほんとに好きで大好きすぎて……こんなに好きな作品を書いて下さってありがとうございます。これからもこの作品を愛し続けます。笑 (2021年3月23日 20時) (レス) id: 9ef94419b6 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - くまさん» コメントありがとうございます。嬉しいです！いつも読ませていただいてます！ただひたすらワンコのような健人くんを書きたくて作りました。くまさんに褒めていただけて、より頑張れます。 (2018年10月5日 9時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - みちさんの書かれるケンティーは最高に可愛くて大好きです！これからも頑張ってください！ (2018年10月5日 3時) (レス) id: 88d6776288 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - はいはいさん» コメントありがとうございます。更新を待っていただけるなんて本当に嬉しいです。これからも短編集のように書いていこうと思ってます。よろしくお願いします。 (2018年9月27日 17時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みち
| 作成日時：2018年9月9日 11時
