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明るい店内、 見渡すとお客さんは一人だけ。健人も警戒しなくていいと思ったのか、そばにずっとついてくる。
そして。さりげなくカゴを持ってくれて、
「A何食べたい?」
「ん、と。ヨーグルトかな。」
「俺Aのだし巻き食べたいなぁ。」
「そう?じゃあ和食にしよっか。」
「いいの?」
うなずくと、ありがとって言ってわしゃわしゃと髪を撫でてくる。
こんなとき、彼氏なんだって実感してきゅんとする。
ご飯夜のうちにセットして、鮭でも買おうかな。お味噌汁の具も冷凍庫に入れてあるし。
最近よく健人のとこに来てたから、冷蔵庫が充実してるんだ。
「健人?」
ふと気がつくと健人がいない。
あれ。どこ行ったんだろ。
食料品の所から見渡すと、背の高い健人の頭が見えて。
レジに行くから近づいていくと、
「あっ…。」
健人、アレ、買ってて。
恥ずかしくなって、不自然にお菓子売り場に逃げ込んでしまった。
はぁ。
そうだよね。買ってくれてるから、あるんだもんね…。
熱い頬を冷ますため、無意味にチョコの箱の裏に書いてある成分とか読んでみたり。
今さら恥ずかしがる年でもないのに。健人と付き合ってから純粋な反応をしてしまう自分がいる。
恋って、年も経験も関係なく人を乙女に変えていく。
「Aー、それも買うの?」
何事もなかったように話しかけてくる健人の手には例のものが入ったコンビニ袋…は、ない。どうやらコートのポケットに入れたみたい。
「…っ、うん。明日食べようかなって。」
「それ俺にもちょうだい。美味しそう!」
「ね。」
ドキドキしてるのを悟られないように、笑ってみせたりして。必死。
「レジ、行こっか。」
「うんっ。」
何にも言わずにそっと私のお財布渡すと、さっと受け取って。小さく、ありがとって言ってくれる。
今はまだ健人学生だし。一緒に買い物したときはほぼ私が払ってる。でも、彼氏としてレジで支払いはしたいだろうなって思うから、時々お財布渡してる。
この辺のさじ加減が難しいんだけど。健人はたぶん大きな心で受け止めてくれてるんだろうなって最近感じるんだ。
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みち(プロフ) - あやさん» あたたかいコメント、本当にありがとうございます。私の大好きな健人くんを書こうと振り切って書いた作品です。やりすぎたかな?と思った日々もありましたが、大切に思っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。 (2021年3月24日 23時) (レス) id: 375937212d (このIDを非表示/違反報告)
あや - はじめてこの作品を読んでから何年経った今でも読みに来ちゃいます笑 ドロ刑の斑目くんで健人くんに落ちた人としては、この作品ほんとに好きで大好きすぎて……こんなに好きな作品を書いて下さってありがとうございます。これからもこの作品を愛し続けます。笑 (2021年3月23日 20時) (レス) id: 9ef94419b6 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - くまさん» コメントありがとうございます。嬉しいです!いつも読ませていただいてます!ただひたすらワンコのような健人くんを書きたくて作りました。くまさんに褒めていただけて、より頑張れます。 (2018年10月5日 9時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - みちさんの書かれるケンティーは最高に可愛くて大好きです!これからも頑張ってください! (2018年10月5日 3時) (レス) id: 88d6776288 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - はいはいさん» コメントありがとうございます。更新を待っていただけるなんて本当に嬉しいです。これからも短編集のように書いていこうと思ってます。よろしくお願いします。 (2018年9月27日 17時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みち | 作成日時:2018年9月9日 11時