Stories① (ページ25)

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渡辺

デビューが決まったらしい

滝沢くんから言われた時、「あーついにかー」なんて
思いながらAのことが気になってチラッて見たら
今にも泣きそうで

今すぐ抱きしめてやりてぇなーとか思ったけど
雰囲気的にそんな感じでもなく

誰も何も言わないまま車に乗り込んだ

いつもならAの隣にふっかとかあべちゃんが座るのに
今日はあえてなのか空いていて俺が隣に座った

Aは外を眺めながら何か考え事をしてるっぽいな
とか考えてたら、今度は鼻をすする音

見られたくないのか下を向いて泣いている

この感じだと気付かれたくなさそうだしと思って

俺の被ってた帽子をAの頭に被せて

「大丈夫だから、、、」と手を握ってみた

Aは驚いたのか一瞬顔を上げて涙目で

こっちを見てまた下を向いてしまった

しばらくして家の前に車が止まる

先にAが降りて俺も降りようとしたら

涼太に呼び止められて

涼太「A泣いてたでしょ？あとよろしくな」

「分かってる、、」

とだけ伝えて車から降りる

Aはどうしたの？って表情で俺を見つめる

俺はAの手を引いてエレベーターに乗り込んだ

密室で無言は気まずいな、、なんて考えてたら

部屋の階に着いた

いつもならどっちかの家に行くけど今日は別々に帰るかと
Aの部屋の鍵を開けてAの荷物をリビングに下ろす

「じゃあ」とリビングを出ようとすると

『行かないで、、、』と後ろから抱きしめられた

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