目を白黒させる話 ページ23
「じゃあ、行ってくる……」
そう言って、カエデちゃんはセオさんの部屋に行ってしまった。
普段は大人しいカエデちゃんが、急にどうしたのだろう。ルイ君は「さっぱり」と言うような顔を、ヒナノちゃんは何か期待したような顔をしていた。
「どうしたんだろうね〜」
「アオ姉……キャラ変?」
僕らが色々予想している間も、ヒナノちゃんはただ微笑んでいた。僕はそれが気になって、はたりとルイ君との相談をやめた。
「ヒナノちゃんはわかるの?」
「ふふ、カエデちゃんはセオ君と二人きりになりたいんじゃない?」
その眼差しはまるで、恋愛ドラマを見ている乙女のようだった。なるほど、ヒナノちゃんの微笑みの理由はわかった気がする。
しかし、二人が恋仲にあるかと言われたらどうだろう。
「え〜、二人は信頼できる仲間って感じじゃない?」
「そう?……まぁどのみち、素敵な二人だよね!」
ヒナノちゃんは一瞬首を捻ったけど、二人の和やかさを思ってかまたすぐに笑った。
一方、ルイ君は相変わらず「さっぱり」らしい。
「あっごめん、つい……」
「難しいよね、こういうの」
それに気付いたのか咄嗟に謝ったヒナノちゃんに続けて、僕もフォローを入れた。
ルイ君はさして気にしていない様子だった。
「アオ姉は……セオを、励ましに行ったんじゃない……かな」
ルイ君はぽつりと言った。その考察は実に現実的で、ヒナノちゃんも僕もほぼ同時に頷いた。
セオさんは、十八歳で団最年長であり団長だ。きっと抱えているものは皆よりずっと多い。それをNo.2のカエデちゃんが支えているのだろう。
「なるほど……」
「カエデちゃんしっかりしてるもんね〜、僕と同い歳なのに」
僕がそう言うと、ヒナノちゃんもルイ君も一瞬きょとんとした。
「そう、だっけ」
「そうだよ、僕とカエデちゃん同級生!ついでにセキもね。ヒナノちゃんも今年十六になるでしょ?」
酷いな、二人ともさぞ意外そうな顔をする。
「そっか……ええと、ヒトカちゃんとハルヒ君が十七歳の高二だっけ。ルイ君は十五歳?」
「そう……ユリが十三で、イズミが十二。キリカゼ……は」
そこまで言って、ルイ君の声が止まってしまった。キリカゼちゃんは年齢不詳、そしてどうやら僕らよりずっと歳上らしいのだ。
「……不詳だね」
二人がキリカゼちゃんの年齢を考察している時、僕はキリカゼちゃんの不思議な表情を思い出した。
__あの子は、僕らには想像もつかないような世界さえ知っているような気がする。
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作者名:3代目メカクシ団/企画:キリカゲ | 作者ホームページ:無いのだ!
作成日時:2019年10月8日 16時