贈り物には雨傘を。〔紫〕 (ページ2)

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小「じゃ、僭越ながら、僕小瀧望が仕切らせていただきます！」

既にテンションが高い小瀧くんが
濵田先生の横でみんなの司会をしている。

小「お酒も皆さんの手元に届いた事ですし？
そろそろ始めちゃいますか？
やはり、ここは濵田ゼミの親睦会なんで、
濵田大先生、乾杯の音頭をお願いします！」

すると先生は小瀧くんとは雲泥のテンションで、

小瀧が乾杯してくれてええわ。
そうゆうのほんまいらんて、とぼやく。

小「いや、だめです、先生の乾杯待っている、
この女子らの目を見てください」

小瀧くんが主張する通り、
いつもの取り巻きの女子群は濵田先生に目を輝かせていた。

これは避けられなそうだと悟ったのか、

……じゃあ、今日はあまり飲みすぎんように……乾杯。
とギリギリこっちまで声が届くくらいの声量。

明らかに乾杯するテンションではなかったけれど、
その冷たさをかき消す女子並びに
ゼミ生の乾杯コールで場は一瞬で温まった。

大人数でわいわいするのが
あまり得意ではない私と春は隅っこの方で
しっぽり楽しく飲み始めた。

『春はさ〜好きな人いないんだっけ』

春「ん〜...いないこともないかな？」

『へっ？！うそ？え？
今いないよ〜って感じのトーンで言うじゃん？え？誰？』

びっくりしすぎだよ、と笑う春。

春「いや、まあ好きな人って程でもないんだけどね、あの騒がしい子」

春の目が、濵田先生、の横の小瀧くんを追っている。

『待ってびっくりだよ、
春って小瀧くんみたいなタイプがいいんだ、
初めて知った』

春「うーん、私もわからないんだけどね。
なんか濵田先生の横できゃあきゃあしてるのが
面白くてみてて楽しいよ」

『…それは好きって言うの…？』

春「だからわからないよね」

わからない、なんて言いながら春の表情が
いつになく緩んでいたからか、
私は春が本当に彼の事が気になっているのだろうと
納得してしまった。

『いいなあ、私も恋したいよ』

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