人魚姫3 (ページ6)

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それからベクは、私を北村韓屋村に連れて行ってくれた。

途中、韓服をレンタルしているお店を見つけ、口には出さないが着てみたいなぁと少しだけ覗いていたら、ベクが後ろから「着てみる？」と笑った。

店員さんが選んでくれたのは、パステルカラーで統一された淡いチマチョゴリで。

さすがに可愛すぎるのではないか、と鏡の中の自分を見て恥ずかしくなったけど、「かわいいよ」ってベクが言うからそれに決めてしまった。

正直、私が着たらベクも着てくれるんだとばかり思っていた。

けど、それは勘違いだったみたい。

『ベクは着ないの？』

って聞いてみたら、

「俺はいいよ(笑)」

って、ベクは帽子のつばを触った。

深く被った帽子のせいで、覗き込まないと見えないベクの顔を下から見上げたら、胸の鼓動がドクンと跳ねた。

「あー、お腹減ったぁなんか食べよ」

私を見下ろすベクが、無邪気に笑う。

『そうだね』

息苦しささえ覚える彼の笑顔に、私は戸惑うばかり。

「あれうまそ！」

でもそんなこと、ベクは知らない。

北村韓屋村で食べ歩きをしながら、ベクは相変わらずマシンガントークを続けていた。

私は繋がれたままの手に長いことずっと緊張しながら、ベクの声に耳を傾けていた。